行政書士とは

行政書士は恥ずかしい資格

ネットで行政書士に関することを検索すると

行政書士は恥ずかしい
行政書士資格に価値は無い
行政書士は食えない

などなど、ネガティブな情報も散見されます。

果たして本当に

行政書士は恥ずかしい資格なのか?

について、現役行政書士が行政書士資格のリアルを解説していきます。

この記事を書いた人
行政書士ヤマハチ 現役行政書士
30歳で行政書士事務所開業
1年目の売上16,500円という絶望から、開業3年目で売上1,800万円達成

行政書士が恥ずかしいと言われる理由4選

  • 誰でも取れる簡単な資格だから
  • 平均年収が低いから
  • 将来性が無いから
  • 専門性が無いから

1.誰でも取れる簡単な資格だから

行政書士資格は「誰でも取れる簡単な資格」と言われることもありますが、決して簡単な資格ではありません

あくまで、他士業の資格難易度と比較をしたら、簡単に見えるだけです。

八士業合格率勉強時間
弁護士40〜45%5000~8000時間
弁理士6〜7%2000~3000時間
税理士18~20%2500~3000時間
司法書士4~5%3000時間
社会保険労務士6~7%800~1000時間
行政書士10〜12%800~1000時間
土地家屋調査士8〜9%1000〜1500時間
海事代理士50〜55%500~600時間
他士業資格の合格率と勉強時間の目安

行政書士とよく比較されがちな司法書士は、毎日5〜8時間の勉強を2〜3年続けて、合格できるかどうかのレベルです。

一方、行政書士は?

私の場合ですと、仕事をしながら1年間ほぼ毎日3〜4時間は勉強しました
試験1か月前になると週末は朝から晩までずっと勉強して、なんとか合格できました。

このように、超難関資格と比較すると行政書士資格が簡単に見えるだけで、

一般的に見ても行政書士は難関資格の部類に入ります。

決して誰でも取れるような簡単な資格ではありません。

2.平均年収が低いから

厚生労働省の調査によると、行政書士の平均年収は約580万円とあります。

士業平均年収
弁護士971.4万円
弁理士971.4万円
税理士746.6万円
司法書士971.4万円
社会保険労務士780.9万円
行政書士579.8万円
土地家屋調査士971.4万円
参照:厚生労働省|職業情報提供サイト

他士業と比較すると、確かに年収は低いかもしれませんが、参考程度として捉えておくことをオススメします。

なぜなら、

独立開業した場合、自身の経営次第でいくらでも収入が変動するからです。

私は開業3年目で年商1800万を達成し、そこから事務所の家賃や通信費などを差し引いて、収入が1500万くらいでした。

世の中には、私よりもはるかに稼いでいる行政書士もいます。

行政書士資格を活かし、経営者としてどのように事業展開していくか?を考え抜き、勉強し、行動し続けられる方であれば、年収1000万円は十分狙えます

3.将来性が無いから

AI(人口知能)の発展によって、行政書士だけでなく多くの仕事が、AIに代替されてしまうと言われています。

しかし、それはまだまだ遠い未来の話だろうと個人的には感じています。

確かに書類作成だけを切り取れば、AIによって、誰でも簡単に書類を作成できるようになるかもしれません。
書類申請も最近ではオンライン申請が普及しつつあります。

しかし、行政書士の本来の価値は書類作成や提出代行ではなく、コンサルティングにあります

行政書士にご相談されるお客様には、それぞれの理想(ゴール)があります。

お客様の理想
  • 飲食店営業許可を取得してお店をオープンしたい
  • 遺言書を作成したい  等

しかし、その理想(ゴール)を阻む難解な法律やルール、複雑な書類作成という壁が立ちはだかっています。

お客様が感じる壁
  • 許可を取るための要件や基準がよくわからない
  • 必要書類や提出先がわからない  等

行政書士は、お客様の理想(ゴール)を実現させるために、書類作成や提出だけに留まらず、関係法令や許可基準についてわかりやすくお客様にご説明したり、準備すべきことや必要書類などを適切にご案内するコンサルタントとして、お客様をサポートしていくことに価値があります。

以上を踏まえると、

AIに行政書士の仕事が奪われてしまうのは、まだまだ遠い未来の話

行政書士の仕事が完全にAIに奪われてしまう頃には、きっとほとんどの職業も無くなっているだろうと思います。

4.専門性が無いから

行政書士は「専門性が無い・低い」と言われがちです。

その要因として、

行政書士の扱える業務範囲があまりに広すぎる

ことにあります。

例えば他士業と比較してみると、

士業業務範囲
弁護士法律業務全般の専門家
弁理士特許申請や知的財産に関する専門家
税理士税務に関する専門家
司法書士登記申請に関する専門家
社会保険労務士社会保険や労務に関する専門家
行政書士書類の作成や提出代行の専門家

このように他士業の場合、専門分野がはっきりとしていますが、行政書士だけ今一つ具体性に欠けます。

だからこそ、行政書士は「自ら専門性を見出していく」必要があります。

 例えば、

  • 建設業に特化した行政書士
  • 自動車手続きに特化した行政書士
  • 入管業務に特化した行政書士

このように、行政書士として

何を専門に扱っているのか?
どんな書類作成や行政手続きに特化しているのか?

を確立していくことが重要です。

一見、専門性が低いように見える行政書士でも、自ら専門性を見出し、行政書士と言う資格を自分流にカスタマイズできる点は、行政書士ならではの魅力と言えるでしょう。

行政書士を批判する声の正体

そもそも行政書士や行政書士資格を批判する人とはどんな方でしょう?

  • 行政書士試験に挫折した人
  • 何年も行政書士試験に合格できない人
  • 行政書士として独立開業したが廃業してしまった人

恐らく、このような方々だと思います。

私の周囲にはもちろん、私がお付き合いさせていただいている他士業の先生で、行政書士を批判したり、見下すような態度をとる方は一切いません。

資格の難易度で優劣をつけようと考えるのは、ネットの世界だけではないかと思います。

実務の世界では、資格の難易度ではなく「何ができる人なのか?」という視点で見られます

それにどんな資格や職業であっても一定数、批判の声は存在しますので大切なことはそういった情報に流されず、行政書士資格を取得する目的を自分の中で明確にすることと、行政書士としてどんな専門分野を確立するかです。

行政書士になるための道

行政書士になるには、毎年11月の第2日曜日に実施されている行政書士試験に合格する必要があります。

公務員として17年以上(もしくは20年以上)の勤務経験をお持ちの方や、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士の資格をお持ちの方は、行政書士試験を受けずとも行政書士資格を有します。

行政書士資格を取得後、日本行政書士会連合会へ登録申請を済ませることで、晴れて行政書士になることができます。

ちなみに行政書士資格を持っているだけでは、行政書士ではなく行政書士有資格者と呼ばれ、行政書士を名乗ることも、お客様から仕事の依頼を受けることもできません。

行政書士試験に関する具体的な情報

行政書士試験の難易度

年度受験申込者数受験者数合格者数合格率
令和6年度59,83247,7856,16512.90%
令和5年度59,46046,9916,57113.98%
令和4年度60,47947,8505,80212.13%
令和3年度61,86947,8705,35311.18%
令和2年度54,84741,6814,47010.72%
令和元年度52,38639,8214,57111.48%
平成30年度50,92639,1054,96812.70%
平成29年度52,21440,4496,36015.72%
平成28年度53,45641,0534,0849.95%
平成27年度56,96544,3665,82013.12%
平成26年度62,17248,8694,0438.27%
平成25年度70,89655,4365,59710.10%
参照:(財)行政書士試験研究センター|試験結果の推移

合格率は約10%

10人受けても、1人しか合格できない狭き門であることがわかります。

どのぐらいの期間で合格できる?

私の経験をお話すると、1年あれば働きながらでも十分合格できる試験です。

ただし、独学で挑戦するのか、通信講座やスクール通学を活用するのか、1日に確保できる勉強時間や、普段の生活スタイルなどによって異なります。

最短かつ1発合格を目指すなら、通信講座やスクール通学の活用をオススメします

以下の記事でおすすめ通信講座をまとめたので、興味がある方はぜひ。

行政書士は胸を張ってよし

行政書士は決して恥ずかしい資格ではありません

  • 行政書士は誰でも取れる簡単な資格
    ⇒ 超難関資格と比較したら簡単そうに見えるだけ
  • 行政書士は平均年収が低い
    ⇒ 自分次第でいくらでも収入を上げていける
  • 行政書士は将来性が無い
    ⇒ 単なる書類作成だけに留まらない価値提供を発揮できる
  • 行政書士は専門性が無い
    ⇒ 専門性は自ら見出していく必要がある

あなたのできる専門性を伸ばし、明確に目的を持って活躍している方は(行政書士に限らずですが)胸を張ってその道を歩んでいいと思います。