行政書士試験の攻略

【行政書士試験】1年間の勉強スケジュールと出題形式別の目標点

行政書士試験は難関試験ではありますが、初学者でも正しく勉強すれば合格できます。

行政書士試験は1年で合格できる?
春~夏は何の科目を勉強する?
記述式の対策はいつがいいの?

本記事では勉強する科目の優先順位を紹介し、1年間の勉強スケジュールと出題形式別の目標点を解説します。

行政書士試験の理解を深め、合格を掴みましょう!

この記事を書いた人
行政書士ヤマハチ 現役行政書士
30歳で行政書士事務所開業
1年目の売上16,500円という絶望から、開業3年目で売上1,800万円達成

ゴールから逆算して考える

行政書士試験3つの合格基準と配点

勉強計画を立てるには、まず初めにゴールを決めなければなりません。

ゴールはもちろん行政書士試験の合格ですね。

また、行政書士試験の合格点は明確に決まっています。

合格基準点
  • 法令科目が122点以上(244点満点)
  • 基礎知識科目が24点以上(56点満点)
  • 全体の得点が180点以上(300点満点)

目標となる点数が180/300点とわかったところで、行政書士試験の配点を見てみましょう。

分野科目問題数配点
法令科目憲法6問28点244点
行政法22問112点
民法1176点
商法/会社法5問20点
基礎法学2問8点
基礎知識科目一般知識4〜6問56点
行政書士法等行政書士業務と
密接に関連する諸法令
2〜3問
情報通信・個人情報保護3〜4問
文章理解3問

表を見ると、「行政法」と「民法」の配点が特に高いことがわかります。

また、合格基準点②によると、基礎知識科目は24点未満で足切り不合格となります。

足切りについては以下の記事で詳しく解説しています。

これらのことから、

行政法、民法、基礎知識科目は優先順位を高くして着手する必要がある

ということがわかりますね。

合格者の平均勉強時間は600~1,000時間

行政書士試験に合格するには、600〜1,000時間必要と言われています。

単純計算で1日あたり2〜3時間かけた場合、毎日勉強して1年はかかる計算です。

法律初学者であれば何もわからないところからのスタートですので、かなりしんどいと思います。

特に、

独学だったら1,000時間以上は必要

だと思います。

ちなみに、法律初学者から独学で合格したスタッフ曰く、

試験の1〜2か月前は1日約5〜6時間は勉強していた

とのこと。

合格に必要な勉強時間について以下の記事で詳しく解説していますので、興味のある方は覗いてみてください。

今回は、「1年間勉強するぞ!」という方をモデルに勉強スケジュールを紹介します。

1年間の勉強スケジュール

前提として、長い時間をかけて試験範囲を1周しただけで合格点に到達することは難しいでしょう。

人間は忘れる生き物なので、何周も繰り返してやっと知識が定着されます。

1周目の勉強はかなり躓きますが、

最初は分からないもの。

2周目で頭から抜けてる知識があっても、

人間は忘れるもの。

と割り切って考えて、まずは3~4周してみるというメンタルが重要です。

以下は、12月から勉強開始した時を例として、大まかなスケジュールを組んでみました。

時期勉強内容
12月行政法(地方自治法を除く)
1月民法(財産法)
2月憲法(統治)、行政法の2周目
3月基礎法学、民法の2周目
4月憲法(人権)、行政法の3周目
7、8月記述式対策、模擬試験
※毎年12月頃に翌年度の行政書士試験対策テキストが販売されるため、12月を起点

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12月 行政法から勉強し始める

「行政法を制するものは行政書士試験を制する」という漫画タイトルがあるくらい行政法は重要です。

また、行政法は条文を知っていれば得点できる分野です。

重要科目、かつ条文の暗記がメインで始めやすい行政法から着手するのがおすすめです。

まずは、地方自治法を除いた「行政法の一般的な法理論」「行政手続法」「行政不服審査法」「行政事件訴訟法」「国家賠償法」を1周してみましょう。

法律初学者の場合、まずは法律の知識をつけるため「基礎法学」から勉強を始めることがおすすめ

1月 民法(財産法)の勉強を始める

民法は「財産法(総則・物権・債権)」と「家族法(親族・相続)」から出題されます。

例年、五肢択一式で出題される9問の内訳は、総則2問、物権2問、債権4問、親族・相続1問というパターンが多いため、民法は財産法から勉強を始めることがおすすめです。

また、民法は登場人物A・Bと具体的な事例が問われるため、条文・判例の暗記だけではなく、事例の形に落とし込んで理解することが重要です。

2月 憲法(統治)と行政法の2周目を始める

義務教育で一度学んでいる憲法は比較的に入り込みやすく最初に勉強しがちですが、たった28点分しか出題されないため、深入りしないことが重要です。

憲法は「総論」「人権」「統治」から出題されますが、1周目は「統治」から始めましょう

統治は「国会・内閣・裁判所」に関する内容で、最高裁判所の判例以外に条文知識を問われるため、行政法同様に暗記を進めていく分野です。

また、「統治」の考え方と行政法の「地方自治法」が似ているので、統治を勉強してから行政法の2周目で「地方自治法」を勉強すると、理解が深まります。

ちなみに、これは「インターリービング」と呼ばれる勉強法です。

大枠は類似しているが相違点のある内容を交互に学ぶと、どちらの内容についても記憶力・理解力が上がるというものですので、参考にしてみてください。

3月 基礎法学と民法の2周目を始める

基礎法学は試験範囲が狭く、得点も少ないため、1問は確実に取れるよう過去問を中心に対策しましょう。

また、民法の2周目は財産法に加えて「家族法」も手をつけ始めましょう。

4月 憲法(人権)と行政法の3周目を始める

憲法の「人権」は、最高裁判所の判例が出題されることが多いです。

判例が出たらその判例を読み込むこと、合憲か違憲かという結論だけでなく理由付け(判旨)も理解することが重要です。

憲法の「総論」は、出題頻度が低いため余裕があれば学習するくらいで良いと思います。

行政法の3周目はそろそろ慣れてきて過去問も解けるようになってきますが、但し書きの重要さを感じる頃かと思います。

5月以降も同様なスケジュールを繰り返していきましょう。

7、8月 記述式対策、模擬試験を始める

記述式の対策は、五肢択一式で7割程度得点できるようになってから始めます。

逆に、それくらい条文や判例、事例がしっかり頭に入っていないと、設問のキーワードすら書けません。

五肢択一式を極めないと得点できないのが記述式なので、五肢択一式を最優先で仕上げましょう。

また、全体を網羅できたら模擬試験を活用して、本番180分間の時間配分に慣れることも重要です。

基礎知識科目は同時並行で勉強する

基礎知識科目は、試験勉強開始時から並行して少しずつ勉強し始めます。

「文章理解」は文章を読むコツを掴めば必ず正解できますし、「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」「情報通信・個人情報保護」は範囲が限られています。

問題に触れれば触れるほど、正解率が上がっていく分野なので、時間をかけて慣れておきましょう。

基礎知識科目については、以下の記事で解説していますので、ご参考にどうぞ。

出題形式別に目標点を決める

以下は、各科目の配点を出題形式別でまとめた表です。

そこに私が考える目標点(多めに見積もって計190点)を加えました。

出題形式科目問題数配点目標点
法令科目五肢択一式基礎法学2問8点4点116点
憲法5問20点12点
行政法19問76点68点
民法9問36点28点
商法/会社法5問20点4点
多肢選択式憲法1問8点6点16点
行政法2問16点10点
記述式行政法1問20点10点30点
民法2問40点20点
基礎知識科目五肢択一式一般知識5問20点0点28点
行政書士法等2問8点4点
情報通信・個人情報保護4問16点12点
文章理解3問12点12点

五肢択一式は計144点(法令科目116点、基礎知識科目28点)

法令科目では、行政法と民法で高得点を取りましょう。

基礎法学 4/8点

試験範囲が狭く、重点的に勉強をしても得点は少ないため、1問正解の4点で十分。

憲法 12/20点

多肢選択式にも出題されるため、半分以上は取れるように勉強しておきましょう。

商法/会社法 4/20点

初学者の場合、捨てて良い科目です。
もし対策するにしても、「設立」を勉強するなど、分野を絞ることをおすすめします。

行政法 68/76点

一番の重要科目であるため、じっくり時間をかけて勉強しましょう。
過去問をたくさん解いて、条文の知識を定着させることがコツです。

民法 28/36点

行政法の次に重要な科目です。
事例問題をたくさん解いて、民法上のキーワードを書けるレベルまで訓練しましょう。

一番重要なのは「行政法」と「民法」に時間をかけるこです。

基礎知識科目 28/56点

例年では、「一般知識(旧:政治・経済・社会)」が受験生の足切りを脅かしていました。

しかし、令和6年度に追加された「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」は対策しやすく、「文章理解」「情報通信・個人情報保護」も得点源となるため、この3科目で確実に得点していきましょう。

多肢選択式は16点

多肢選択式は「憲法:8点」「行政法:16点」という配点で、「特別な対策が必要か?」というわけではなく、五肢択一式を極めれば解ける問題です。

強いて言えば、20個の選択肢から文章の意味が成立するような解答を選ぶという問題形式に慣れておくことです。

記述式は20〜30点

記述式の配点は「行政法:20点」「民法:40点」の計60点と高めです。

しかし、半分の30点も取れれば良いくらい採点はかなり厳しく見られます

そのため、1問は結論まで書いて何かで減点され10〜15点。2問はキーワードを書いて部分点をもらうイメージで、判例や事例を勉強しておきましょう。

最後に 決めたスケジュールを迷わずにやり切る

以上、1年間の勉強スケジュールと出題形式別の目標点について解説しました。

なお、行政書士試験の平均受験回数は2回以上というデータがあるため、多くの方が2年以上は勉強されているようです。

目標点を勝ち取る心構え
  • 最初は辛くても何周も勉強する
  • 行政法と民法は重点的に3周以上
  • 記述式以外で160〜170点を確保

長い時間かけて1周しても知識としてなかなか定着しません。

忘れることを前提に、何回も思い出す訓練を積むことで、試験当日にパッと答えられるようになります

各科目別の対策方法も解説していきますので、合格を目指して頑張りましょう!

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