開業ノウハウ

開業前に知っておきたい行政書士事務所の設置要件 3つのポイント

独立開業で行政書士登録をする際は、事務所を1か所設置する必要があります。

ただし、どんな部屋でもいいわけではなく、その部屋が設置要件をクリアしていなければ事務所として認められません

  • 自宅の一部を事務所にしたい
  • レンタルオフィスは事務所にできるの?

とお考えの方へ「開業前に知っておきたい行政書士事務所の設置要件」を3つのポイントに分けて、わかりやすく解説いたします。

この記事を書いた人
行政書士ヤマハチ 現役行政書士
30歳で行政書士事務所開業
1年目の売上16,500円という絶望から、開業3年目で売上1,800万円達成

行政書士事務所の設置要件 3つのポイント

  • 独立性を確保できる「構造」
  • 業務ができる最低限の「設備」
  • 事務所利用の「使用権原」

① 独立性を確保できる「構造」が重要

行政書士の事務所は、個人情報や帳簿などの秘密を保持できるよう独立性が確保できる構造である必要があります。

つまり、家族等が出入りする自宅のリビングは、秘密保持ができないと考えられるため、事務所とは認められません。

これは、1人暮らしのリビングも同様です。

逆に言えば、独立性を確保できれば、自宅兼事務所もレンタルオフィスも構造の基準はクリアできます。

自宅を事務所にする場合

自宅の一部を事務所にする際の要件を

リビング等の居住スペースを通らず、玄関から直接に事務所とする部屋へ行けること

とする行政書士会もあります。
※各都道府県の行政書士会によって設置基準は若干異なる。

ただし、他人が事務所へ簡単に入れないようにするため、部屋に鍵をつけるなどの工夫が必要です。

また、居住スペースを通らなければならない構造の自宅もあると思います。

その場合は、パーテーションなどの間仕切りで明確に区切りを入れて、入り口から事務所へ行くための独立した通路を確保しましょう。

なお、低いパーテーションで区切った半個室状態では事務所として認められない可能性もあるため注意しましょう。

レンタルオフィスを事務所にする場合

レンタルオフィスは、秘密保持ができるよう鍵付きで区切られた個室部屋を選びましょう。

また、郵便物が混ざらないようにポストが別々にあることもポイントです。

なお、個室で区切られていない構造のシェアオフィスやコワーキングスペースでは、事務所として認められない可能性が高いです。

別室で応接室は必要?

結論、事務所と応接室が分かれている必要はありません

つまり、事務机と応接セットが同部屋にあってもいいです。

ただ、ここからは個人的な意見ですが、事務所と応接室は区切られている方が好みです。

その方がお客様のプライバシーを守れますし、離席時に視界から外れられるのでお客様の緊張感が少しだけ和らぐ感じがします。

応接用の別部屋を用意する
別部屋がないなら事務机と応接セットの間をパーテーションで軽く区切る

ということができたら、見栄えや印象も良いかなと思います。

レンタルオフィスなら共有の会議室があるといいですね。

② 事務所に揃えるべき「設備」

行政書士会の手引きに記載の設備を紹介しますが、行政書士登録の申請時に全て揃っている必要はありません。

ただし、行政書士として業務ができる最低限の設備は必要です。

行政書士会の手引きに記載の設備例
  • 行政書士事務所の表札(行政書士登録後)
  • 事務用机・椅子
  • 応接セット
  • 電話
  • パソコン等
  • プリンターFAX、コピー機
  • 施錠付書類保管庫
  • 金庫
  • 用紙・雑品等収納庫または収納棚
  • 業務用図書および図書棚

上記はほんの一部であり、現実的にはもっと揃えるべきアイテムが多数あります。

以下の記事に必須アイテムをまとめました。
独立開業準備中、既に独立開業中の方はぜひご確認を。

③ 事務所の「使用権原」にも注意

事務所の適格性として、構造・設備の他にもその建物が行政書士の事務所として営業して良いかどうか重要です。

例えば、営業を認められていない公営住宅や公舎は、建物使用上の制限に違反するため事務所登録ができません。

また、マンションやアパートなどの賃貸物件では「事務所利用不可」としている場合もあります。

仮に「事務所利用可」の物件だとしても、後で問題にならないよう大家さんや不動産会社から事前に承諾を得ておきましょう

レンタルオフィスも同様で、行政書士の事務所利用が可能かを運営会社に確認しましょう。

最後に 自宅が難しければレンタルオフィスへ

以上、開業前に知っておきたい行政書士事務所の設置要件でした。

自宅の一部を事務所にすることもレンタルオフィスを事務所にすることも可能ですが、設置要件に注意しましょう。

行政書士事務所の設備要件
  • 独立した事務スペースと接客スペースが確保されている(個室)
  • 業務に必要なデスク、椅子、パソコン、プリンター等の設備がある
  • 鍵付きの書類保管庫(キャビネット等)
  • 事務所の使用権限を適切に有している(自己所有、賃貸)
  • 行政書士事務所であることがわかる表札を掲示している

自宅兼事務所で初期費用を抑えるのも良いですが、構造・設備の環境アクセスしやすさなどの立地を考慮するとレンタルオフィスもオススメです。

独立開業される皆さんが後々になって困らないよう、こちらの記事が参考になれば幸いです。

以下の記事にレンタルオフィスについてまとめたので、興味がある方はぜひ。