開業ノウハウ

【初心者必見】行政書士の専門分野を決める3つのポイント!!

行政書士として独立を考えている方にとって、専門分野を決めることは非常に重要です。

専門分野を決めるポイントは?
競合が多くても大丈夫?
専門分野を決めた後にすべきことは?

本記事では、現役の行政書士が「専門分野を決めるためのポイント」をわかりやすく解説します。

明確な専門分野があれば、他の行政書士との差別化や安定した集客・収益が期待できるため、ぜひ参考になれば幸いです。

この記事を書いた人
行政書士ヤマハチ 現役行政書士
30歳で行政書士事務所開業
1年目の売上16,500円という絶望から、開業3年目で売上1,800万円達成

専門分野を決めるメリット

初心者でもお客様から選ばれやすくなる

行政書士に専門分野があれば、他の行政書士との差別化が図れるというメリットがあります。

例えば、お客様が建設業許可申請を行政書士にお願いしたい場合、

総合事務所 < 建設業許可申請に特化した事務所

を選ぶはずです。

仮に、大手の行政書士事務所があったとしても、「建設業許可申請の実績」がない、もしくは専門でない場合は、開業したばかりの行政書士でも「建設業許可に強い行政書士」と専門性を打ち出すことで、お客様の選択肢に入ることができます。

また、広告運用をする際、専門分野のキーワードに狙いを絞って広告を出すことができるので、さらなる集客・収益が期待できます。

専門分野が不明確な状態は危険?

行政書士は様々な書類を扱うことができるため、仕事の範囲もかなり広いですが、逆に言えば、専門分野が決まっていないと「何でも屋」という印象を与えてしまいます。

また、「どんな依頼でも対応!」という事務所方針に決めたとします。

そこで問いたいことは、

全業務で高いクオリティを担保できますか?
専門を持つ競合が周囲にいる中で強みを発揮できますか?

ということです。

環境に恵まれていたり、繋がりがあったりする方でなければ、当然にかなり厳しいでしょう。

行政書士の業務は各分野で高度な知識や経験が必要であり奥が深いです。

しかし、専門分野を決めていないということは、

専門性が無い=強みが無い

とも言えます。

そのため、専門分野は明確にしておくべきです。

どうしても幅広く業務を取り扱いたい場合は、段階を踏んで徐々に増やしていくことをオススメします。

専門分野を決めるための3つのポイント

では、膨大な数の業務の中から専門分野を決めるにはどうすればいいのか。

私なりに専門分野を決めるポイントが3つあります。

  • 自分の興味や強みを知る
  • 市場ニーズや競合を分析する
  • 収益性を確認する

① 自分の興味や強みを知る

その分野の専門家である限り、法令や実務に関する最新情報を仕入れて、常に勉強して知識のアップデートをしていく必要があります。

そう考えると、自分が興味のある分野でなければ、永続的に仕事をしていくのはやや辛いと思います。

戦略的に「その分野が絶対伸びるからやり切るんだ!」ということができる人なら別ですので、一概には言えませんが、性格的に飽きっぽい人は気をつけて分野選びをしましょう。

また、自分の強みを一つ一つ挙げていくことで、専門分野を見つけることもできます

次のような例を挙げてみます。

誰が:元大工の行政書士さん
どんな:建設業許可申請の専門事務所
強み:建設業のお客様のニーズを理解して対応できる

誰が:家業が飲食店の方
どんな:飲食店営業、風俗営業許可申請の専門事務所
強み:飲食業の内情がわかり、クロスセルの商材も扱える

「クロスセル」の例としては、飲食店のPOSレジに関する代理店営業や行政書士の開業経験を活かしたMEOマーケティングのコンサルなどがあります。

過去に自分や周りが悩んだ、困った経験からお客様の需要を把握して成功に導くことができるので、提供できるサービスの価値が高まります。

② 市場ニーズや競合を分析する

時代の変化や市場ニーズを理解することは、専門分野を選ぶ上での大きなポイントです。

例えば、次のような時代の変化に気づけば、市場ニーズに合った専門分野を選択肢に入れることもできます。

時代変化:働き手不足で外国人労働者の雇用を検討する企業が増加
専門分野:外国人雇用の関連業務
サービス:在留資格変更許可申請、外国人採用や離職リスクに対するコンサル

このように、特定の市場や顧客層が求めていることを知ることで、需要に特化させたサービス提供ができます。

しかし、注意すべきことは、事務所の所在地にその時代変化と市場ニーズが本当にあるのかどうかです。

時代の変化は、大都市を中心に語られる傾向があります。

もちろん、大都市で先行して発生する変化は、地方都市で数年後に訪れる変化でもありますが、その地域特有の風土や文化があるはずですので、市場ニーズを正しく分析することが重要です。

また、競合とのバランスも大切です。

同じ地域で、同じ分野に特化した行政書士が多数いる場合、当然に競争が激しくなります。

とは言え、

他の事務所にはない「自分ならではの強み」を活かせるなら初心者行政書士でも十分に戦える

ということが経験上わかったので、競合を絶対に避けるのではなく、相手の強み、自分の強みを分析して、何を特化させるか?というバランス感覚を掴みましょう。

③ 収益性を確認する

専門分野によって報酬額や継続性は様々ですので、収益性も検討事項の一つです。

例えば、自動車登録・保管関連の業務において、目標を行政書士の平均年収とした場合、次のような数値になります。

目標額:600万円/年 = 50万円/月
報酬額:5,000円/件
→継続的に100件/月の受注が必要

自動車登録申請、自動車保管場所証明申請書の作成(車庫証明)などは、報酬額が低めですので、かなりの件数を継続的に受注する必要があります。

仮に、大規模の取引先がすでに決まっていたり、組織で処理ができたりする場合は別ですが、初心者行政書士なら「継続的に月間100件の依頼はあるのか」「一人で対応し切れるか」などを考慮しましょう。

「建設業関連」「在留資格関連」などは、報酬額が10万円以上と比較的高い傾向にあるため、少ない件数でも問題ないケースもあります。

ただし、そもそも市場ニーズがあるか、強みが活かせるか、なども合わせて検討しましょう。

報酬額については、日本行政書士会連合会の報酬額の統計にて、令和2年度報酬額統計調査の結果が公開されているので、参考にしましょう。

行政書士の取扱業務ランキング

日本行政書士会連合会が毎月発行している「日本行政」2024年3月号にて、令和5年行政書士実態調査集計結果が掲載されています。

順位業務名件数割合
1相続、遺言1,53811.9%
2建設業許可関係
(経審等含む)
1,1959.2%
3農地法関係7766.0%
4各種契約書の作成6264.8%
5自動車保管場所証明申請6174.8%
6入管業務6094.7%
7産業廃棄物、一般廃棄物許可5614.3%
8株式会社等設立4683.6%
9古物営業、質屋営業4543.5%
10自動車保有関係手続4313.3%
11各種補助金、給付金の申請、融資申込み4283.3%
12議事録、定款、就業規則等の作成3502.7%
13宅建業の免許3492.7%
14入札指名参加申請
(工事、物品・委託・その他)
2782.1%
15内容証明2612.0%
16運送業許可関係2532.0%
17開発許可、宅地造成、都市計画関係、建築基準法関係
(道路に関する)
2171.7%
18記帳会計1951.5%
19風適法関係1921.5%
20国籍、帰化1901.5%
月刊 日本行政 2024年3月号|令和5年行政書士実態調査集計結果について「8.取扱業務」

専門分野を決めた後にすべきこと

業務知識のインプットとリハーサル

選んだ業務の専門家であるならば、最新の法改正や実務のスキルをアップデートし続ける必要があります。

そのためには、専門分野の書籍(法令書や実務書など)を買い揃え、初回相談〜申請完了までの流れを何度も復習して、

いつお問合せが来ても自信を持って対応できる!

という準備をしましょう。

入管業務のおすすめ専門書はこちらにまとめているので、興味がある方はぜひ!

初めての案件対応はかなり緊張しますが、何度も何度も頭の中でリハーサルを積んで、対応に抜け漏れがないか確認を繰り返せば乗り切れるはずです。

そうして着実に実務経験を積んでいけば、本当の専門家に近づくことができます。

事務所のブランディングとPR活動

どんなにあなたが準備万端でも、ターゲットとなるお客様に事務所の存在が知られていないなら依頼に繋がりません。

あなたの事務所を認知してもらうには、ホームページやSNSでのPR活動が重要です。

特に、

初心者行政書士にオススメするのは、広告運用(リスティング広告)

です。

ホームページやSNSアカウントを作成しても、Google検索で上位表示されるまでには時間がかかりますし、SNSのフォロワーが少ないと「実績がないのでは?」と信頼性を損なう可能性もあります。

しかし、費用や運用スキルは必要ですが、リスティング広告なら届けたいターゲットにだけ集中して無駄なくすぐにアプローチすることができます。

それと同時に、ホームページにて事務所のブランディングも必要です。

実務に関するコラム記事を掲載したり、過去の実績やお客様の声を掲載したりホームページを常に更新し続けることで、その専門分野でお客様の信頼を得ることができます。

SNSは相乗効果を狙って、ホームページの作り込みをした後に始めてもいいかもしれません。

最後に 専門分野の正解はあなたの中にある

以上、行政書士の専門分野を決める3つのポイントでした。

  • 自分の興味や強みを知る
  • 市場ニーズや競合を分析する
  • 収益性を確認する

私の経験から専門分野を決めるポイントをお伝えすることはできますが、「これにすべき!」という正解を一発で出すことはできません。

なぜなら、あなたの本当の強みはあなたの中にしかないからです。

しかし、あなたなりの専門分野を決められたなら、他の行政書士との差別化が図れ、仮に大手の競合がいたとしても、お客様から選ばれる行政書士になることができます

ここで紹介したことを考慮しながら専門分野を選び、知識を深めることが成功への第一歩です。

あなたが「行政書士で食えるぞ!」と言えるように、これからも情報を発信していきます。

開業準備中の方へ
こちらの記事に必須アイテムを網羅させていますので、ご参考にどうぞ!