行政書士は独立系の国家資格と呼ばれています。
自己啓発の一環で取得した方などを除いて、有資格者ならば誰もが一度くらいは行政書士の独立開業を検討するのではないでしょうか。
独立開業後のイメージが湧かない
実際に行政書士で食べていけるか不安
そんな方へ、「金なし・コネなし・経験なし」の行政書士が独立開業後に待ち受けるリアルについて、当時のことを思い出しながら赤裸々にまとめてみました。
そもそも行政書士は本当に食えないのか?

インターネットの評判では、行政書士に関するネガティブな情報を度々見かけます。
- 行政書士は食えない
- 行政書士を取得しても意味が無い
- 行政書士だけでは売上が立たない
大前提、このようなネガティブ情報は全く気にしなくて良いです。
なぜなら、
食える人は十分食えるけど、
食えない人は全く食えない
からです。
「行政書士で食える・食えない」の決定的な違いは、行政書士と言うビジネスを展開していく上での「戦略」と「実行力」の有無だと感じています。
そう思うようになったきっかけに、私が先輩行政書士に言われて腑に落ちた言葉があります。

行政書士で売上が作れずに廃業した人は、きっと他の資格やビジネスで起業していたとしても同じ結末になっていたと思うよ。
行政書士は無数にあるビジネスの中の「手段」でしかなく、何においても売上創出に向けた戦略と実行力こそが最も重要です。
その点を疎かにしたまま見切り発車で独立開業してしまうと、いわゆる「食えない行政書士」になってしまいます。
行政書士で独立開業するのであれば、
行政書士ビジネスをどのように展開していくか?
という考え方を持つことがスタートラインと言えるでしょう。
間違っても「独立すれば自然と売上が上がる」などの期待を持ってはいけません。
「独立開業」は「起業」と同じ

独立開業は、起業することと同じです。
つまり、行政書士になるのと同時に経営者にもなると言うことです。
経営者とは
事業の方針を定め、目標達成に向けて戦略を描き、あらゆるリスクを想定しながら、全責任を背負って意思決定を下し続ける人のこと
私と同じように「金なし、コネなし、経験なし」の方は、行政書士としても、そして経営者としても、当然ながら半人前以下です。
そんな方が独立開業する場合は、誰よりも勉強し、誰よりも行動し続ける強い覚悟を持たなければいけません。
独立開業するなら覚悟しておくべきこと

これから行政書士で独立される方、または独立を検討している方へ、個人的にお伝えしたい「覚悟しておくべきこと」を思うままに挙げてみました。
独立開業前の過去の自分に伝えておきたい言葉でもあります。
- たった一人で全ての業務をやらないといけない
- 覚えるべきことが多すぎる
- 休日は無い
- いつも仕事のことばかり考えてしまう
- 給料の保証はされていない
- 成功の保証は無い
たった一人で全ての業務をやらないといけない
独立開業ならば、全て自分一人でやらなければなりません。
戦略立案
営業活動
顧客対応
電話応対
業務遂行
資産管理
備品発注
請求書や領収書の管理
税務や労務の手続き など
会社に勤めていれば、社内の誰かがやってくれていた業務やチームで協力して取り組んでいた仕事たち…。
組織のありがたさを実感します。
覚えるべきことが多すぎる
当然、覚えることも山ほどあります。
やったことがないこと、知らないことの連続ですので、新しいことを覚えたと思ったら、また新しいことが降りかかってきます。
実務の知識を初め、マーケティングの知識、税務・労務の知識等々、常に新しいことを勉強し続ける必要があります。
休日は無い
休みは基本的にありません。
厳密に言えば、休みは自分で決められますので、休みたければいつでも休めます。
しかし、売上の目処がない状況で休むことはとても不安でたまりません。
気が付けば毎日のように仕事をすることになります。
私は開業してから2年程はほぼ毎日仕事をしていましたし、大晦日や元旦も仕事をしていました。
いつも仕事のことばかり考えてしまう
常に仕事のことが頭から離れません。
電車に揺られているときも、歩いているときも、帰宅しても、食事をしているときも、お風呂に入っているときも、ベッドに入って眠りにつくときも…。
常に何かに追われているかのように、仕事のことばかり考えることになります。
完全に仕事のことを忘れて心と頭が休まる瞬間…。
当時はありませんでした。
給料の保証はされていない
どれだけ仕事に打ち込んだとしても、お給料は保証されていません。
1日12〜13時間、休みなく毎日働いたとしても、売上が0円ならお給料も0円です。
それでも、自身の生活費や事務所の固定費などの支出は毎月発生します。
通帳の貯金残高が少しずつ減っていく一方で、収入が無い状況はとてもとても不安でたまりません。
個人的にはこれが一番苦しかったです。
成功の保証は無い
これだけのリスクを抱えて、人一倍仕事をしていても成功する保証はありません。
そもそも、成功が約束されているビジネス自体存在しません。
失敗すれば多くのお金と時間を失ってしまう不安の中で、
いつまでこの生活が続くのだろう…
会社員として再就職した方が幸せかもしれない…
このまま続けて本当にうまくいくのだろうか…
そんな風に何度も不安に押しつぶされそうになる瞬間があります。
独立開業時に私が大切にしていた3つの心得

- 初めはとにかく時間をかけること
- 成果は曲線を描いてくれること
- 全てに「なぜ」を問いかけ続けること
① 初めはとにかく時間をかけること

独立開業直後は、とにかくわからないことだらけです。
それが普通ですし、実際に私もそうでした。
やったことが無いことの連続だからこそ、何をするにしてもかなり時間がかかります。
恥ずかしい話ですが、私は自身の事務所で使用する契約書を作成するのに2週間もかかりました。
それまで契約書を作成したことなんてなかったですし、ネットに落ちている無料の雛形をそのまま使用するのも怖かったので、契約書作成に関する専門書を購入して、ひとつひとつ調べながら慎重に作成しました。
ただ、私の頭の中は…。

こんなに時間をかけても全然作業が進まない…
全てに時間がかかりすぎていて効率が悪い…
ストレスも溜まりますし、時間だけ過ぎていく焦りと不安もあります。
しかし、初めに時間をかけた分だけ何事も自然と作業時間が短くなっていきます。
3日かけていた作業が1日で終わるようになり、1日かけていた作業が数時間で終わるようになります。
↓私が愛用している専門書をご紹介
これさえあれば誰でも契約書を作れます

〔改訂版〕応用自在! 契約書作成のテクニック
¥9,350(税込)
何回も言いますが、初めて取り組むことに時間がかかってしまうのは当然のことであり、決して悪いことでありません。
むしろ、それが普通です。
効率良く仕事をこなそうとすることよりも、時間をかけてコツコツと取り組むことの方が、自身のレベルアップに繋がったと実感しています。
② 成果は曲線を描いてくれること

成果は期待と裏腹に直線を描いて伸びてくれません。
しかし、曲線を描いてある時から急激に伸びます。
私の実体験をお話します。
1年目は、開業初月に知人からいただいた依頼1件(16,500円)のみ。
その後、休み無く働き続けても、半年以上は売上0円でした。
しばらくして再度知人からの依頼で売上6,600円、その翌月は新規のお問合せで売上33,000円、翌々月には売上588,500円と一気に伸びました。
WEBマーケティングを勉強し続けて、サイト構築に時間をかけた成果が数か月遅れで現れたのです。
今やっていることが、すぐに成果として出るわけではない。
当然、間違ったことをし続けていても成果が出ることはありませんが、正しいことを続けていたとしてもすぐには成果が出ません。
自分を信じて、着実に試行錯誤の努力を重ねていくことが重要です。
③ 常に「なぜ」を問いかけること
これは、独立開業する前に読んだ書籍「トヨタ式5W1H思考」に書かれていたことです。

トヨタ式5W1H思考
カイゼン、イノベーションを生む究極の課題解決法
¥1,650(税込)
成功も失敗も何かしらの原因があるはずです。
- 売上が上がらない
↓なぜ? - 問合せが無いので依頼にも繋がらないから
↓なぜ? - WEBサイトのアクセス数が少ないから
↓なぜ? - 検索しても表示されないから
↓なぜ? - 記事や情報が不足しているから
↓なぜ? - どんな記事や情報を掲載して良いかわかっていないから
↓なぜ?
(具体案が出るまで深掘りを続ける…。)
失敗ではない。ただ、1万通りのうまくいかない方法を発見したのだ
と語るエジソンも、繰り返すトライアンドエラーの中で、数えきれないほどの深掘りをしたと思います。
経営も同じで、うまくいかない理由を見つけて改善を重ねれば、きっと自分に合う正しい戦略が見えてきます。
最後に 独立開業して良かった
以上、行政書士で独立開業した1年目のリアルについてまとめてみました。
独立開業は良いことばかりではなく、険しい道のりがある…。
経験した私だからこそお伝えできる、まさに「リアル」な行政書士の独立開業だと思います。
だからと言って、行政書士での独立開業が悪いことしかない、なんてこともありません。
会社員時代では味わえない幸福感があります。
あの人みたいな行政書士になりたい!
絶対に自分を変えてやるんだ!
という気持ちを胸に行動し続けることができれば、高い壁も乗り越えられると思います。
一緒に行政書士として頑張っていきましょう!
以下の記事では、実際にホームページ作成に力を入れて逆転できた私が思うことも語っていますので、興味がある方は覗いてみてください。