前回の記事のまとめです。
- 財産法が大部分を占める出題傾向
- 条文や判例以外に事例も重要
- 暗記ではなく条文の理解を深める
行政書士試験は難関試験ではありますが、初学者でも正しく勉強すれば合格できます。

憲法の攻略法は?
基礎法学とは?
行政書士試験に出題される憲法・基礎法学とその攻略法について解説していきます。
行政書士試験の理解を深め、合格を掴みましょう!
行政書士試験における憲法の概要と攻略法

憲法は国の最高法規
日本国憲法は、日本の法体系で最上位にある法です。(最高法規)

そのため、憲法に違反する法律を作ることは許されません。
仮に、国家権力が憲法の範囲を超えて自分たちの都合の良いように法律を作ってしまったら、国民は自由に安心して暮らすことができません。
つまり、憲法には、
国民の権利や自由を守るため、国家権力を制限する
という役割があります。
憲法攻略の心構え
憲法の配点は300点満点中28点しかありません。
出題形式 | 問題数 | 配点 | 目標点 |
---|---|---|---|
五肢択一式 | 5問 | 20点 | 12点 |
多肢選択式 | 1問 | 8点 | 6点 |
合計 | 6問 | 28点 | 18点 |
また、問題の難易度は半分が難しい、半分が易しいという傾向があります。
そのため、憲法の勉強には深入りせず、簡単な問題を取りこぼさないという姿勢で目標点は6割を目指しましょう。
憲法の3つの構成と対策
憲法は3つの構成に分けられています。
- 総論
- 人権
- 統治
行政書士試験の憲法は「②人権」「③統治」からの出題がほとんどですので、この2つをしっかりと押さえることが重要です。
また、憲法が絡む程の重要な判例はある程度決まっており、条文も多くないため、過去問で出題パターンに慣れて、対策をしていきましょう。
① 総論
総論は、憲法全体に共通する基本原理について定めています。
憲法1条~9条の天皇や戦争の放棄が憲法総論の範囲となります。
基本原理である「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」は押さえておきましょう。
② 人権
人権は、国民の権利について定めています。
憲法10条~40条の国民の権利・義務が人権の範囲となります。
出題傾向は、条文問題が少なめで、最高裁判所の判例問題が多めであるため、勉強中に判例が出てきたら必ず読み込みましょう。
憲法の判例を読む時のポイントは、
・何の権利においてどんな問題があるか
・結論が合憲か違憲か
・その理由(判旨)
をセットで覚えることです。
と言っても、初学者にとって判例を読むことは難しく、慣れるには時間がかかると思うので、行政法→民法→憲法統治→憲法人権の順番で勉強していくことがおすすめです。
また、出題頻度が高く、注意して勉強しておきたい部分を以下に書き出しましたので、しっかりと押さえておきましょう。
精神的自由権
21条 表現の自由
経済的自由権
22条 職業選択の自由
29条 財産権
社会権
25条 生存権
包括的基本権
14条 平等権
13条 幸福追求権
③ 統治
統治は、国の政治の仕組みについて定めています。
憲法41条~99条が統治の範囲となります。
41~64条 国会
65~75条 内閣
76~82条 司法(裁判所)
83~91条 財政
92~95条 地方自治
96条 憲法改正
97~99条 最高法規
出題傾向は、判例問題よりも条文問題が多めであるため、判例だけでなく条文も押さえておきましょう。
特に「国会・内閣・司法(裁判所)」からの出題が多いため、重点的に勉強しましょう。
ちなみに、選択肢のほんの一部分を変えて正誤判定させるような問題もあるため、条文を細かいところまで覚えることが重要です。
憲法の問題は試験の序盤に出てきますが、統治は得点しやすい分野ですので、本番は落ち着いて挑みましょう。
行政書士試験における基礎法学の概要と攻略法

基礎法学と紛争解決制度が試験範囲
基礎法学は、法律を学ぶ上で押さえておくべき基礎となる分野であり、具体的には「法とは何か」「法律用語の意味」などを学びます。
なお、行政書士試験における基礎法学では、基礎法学だけではなく、裁判制度や紛争解決手続という紛争解決制度も試験範囲に含まれています。
基礎法学攻略の心構え
基礎法学の配点は300点満点中わずか8点(2問)です。
出題形式 | 問題数 | 配点 | 目標点 |
---|---|---|---|
五肢択一式 | 2問 | 8点 | 4点 |
合計 | 2問 | 8点 | 4点 |
そのうち、1問は難問、1問は正解率が高い問題という出題傾向があります。
冒頭の1、2問目が基礎法学であり、試験の1問目がいきなり難問という可能性もありますが、そのときは時間をかけず飛ばすことも重要です。
基礎法学では、憲法の勉強以上に深入りせず、1問は正解するという姿勢で勉強を進めましょう。
基礎法学の対策
基礎法学では、「法律用語」、「裁判制度」の出題頻度が比較的高いです。
その次に、公法と私法、実体法と手続法といった「成分法の分類」に関する問題が頻出されています。
ただし、基礎法学は出題範囲が広いため、かなり対策がしづらい科目です。
と言っても、他の法令科目を勉強していれば、1問は正解できるような問題があるため、頻出問題と過去問にポイントを絞って効率よく対策しましょう。
最後に 憲法・基礎法学は勉強に時間をかけすぎない
以上、行政書士試験に出題される憲法・基礎法学とその攻略法について解説しました。
- 高頻出分野に狙いを定めて勉強
- 人権は判例、統治は条文が重要
- 憲法・基礎法学は過去問で対策
憲法・基礎法学は、記述式問題がないため、答えを書けるようになるまで訓練を積む必要がありません。
また、過去問で十分対策できる分野です。
配点がそこまで高くないため、勉強のスケジュールに注意しながら効率よく進めていきましょう。
コラムを読まれた方が行政書士試験の合格を掴めるよう、どんどん執筆していきます!
以下の記事が続きになります。ご参考になれば幸いです。