前回の記事のまとめです。
- 高頻出分野に狙いを定めて勉強
- 人権は判例、統治は条文が重要
- 憲法・基礎法学は過去問で対策
行政書士試験は難関試験ではありますが、初学者でも正しく勉強すれば合格できます。

基礎知識科目とは?
攻略のコツは?
行政書士試験に出題される基礎知識科目とその攻略法について解説していきます。
行政書士試験の理解を深め、合格を掴みましょう!
基礎知識科目とは?

基礎知識科目は4つの構成
基礎知識科目の正式名称は、「行政書士の業務に関し必要な基礎知識」であり、以下の4つの科目で構成されたものを基礎知識と呼んでいます。
- 一般知識(旧:政治・経済・社会)
- 行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令
- 情報通信・個人情報保護
- 文章理解
① 一般知識(旧:政治・経済・社会)の出題内容
令和5年度まで「政治・経済・社会」という科目でしたが、令和6年度から「一般知識」へ名称変更されました。
そのため、出題内容は変わらずに「政治・経済・社会」です。
政治
諸外国の歴史・政治体制
日本の選挙制度
行政改革 など
経済
経済・金融・財政
貿易自由化 など
社会
環境問題
社会保障問題
労働問題 など
対策がしづらい科目ですので、対策に時間を割けるのであれば、日頃から新聞やニュース記事を読んで幅広い知識を身に着けておきましょう。
② 行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令の出題内容
「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」では、「行政書士法」「戸籍法」「住民基本台帳法」などの知識が問われます。
令和6年度から追加されたため、情報は少ないですが、現状では条文を理解しておけば得点できる科目ですので、しっかりと対策しておきましょう。
③ 情報通信・個人情報保護の出題内容
情報通信では、IT用語やその定義について問われます。
個人情報保護では、「個人情報保護法」「情報公開法」「公文書管理法」などの条文知識について問われます。
④ 文章理解の出題内容
文章理解では、評論文が提示されて、その文章中の空欄を埋める問題(=空欄補充問題)や文章が成り立つように選択肢を正しく並べ替える問題(=並べ替え問題)が出題されます。
例年、文章理解からは3問が出題されており、出題形式は「空欄補充問題」「並べ替え問題」で固まっています。
行政書士試験における基礎知識と攻略法

基礎知識攻略の心構え
基礎知識は300点満点中56点で全体の約2割を占めます。
科目 | 問題数 | 配点 | 目標点 |
---|---|---|---|
一般知識 | 5問 | 20点 | 0点 |
行政書士法等〜 | 2問 | 8点 | 4点 |
情報通信・個人情報保護 | 4問 | 16点 | 12点 |
文章理解 | 3問 | 12点 | 12点 |
合計 | 14問 | 56点 | 28点 |
問題はすべて五肢択一式で出題されますが、科目によって対策の難易度は大きく異なります。
基礎知識で56点満点を取ることは魅力的ですが、それほどの勉強時間を費やすなら、法令科目で取りこぼしをなくすことに時間を使う方がおすすめです。
そのため、対策しづらい科目は軽めに、対策できる科目は絶対に得点する!という姿勢で勉強を進めましょう。
足切りに注意
行政書士試験には足切りが設けられているため、以下の3つの条件をクリアしなければ合格とはなりません。
- 法令科目が122点以上(244点満点)
- 基礎知識科目が24点以上(56点満点)
- 全体の得点が180点以上(300点満点)
基礎知識科目では、6問(24点)以上の正解が必要となります。
科目により対策難易度が異なることから、対策しやすい科目で足切りを回避することを目標にしましょう。
4つの科目の対策
- 一般知識(旧:政治・経済・社会)
- 行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令
- 情報通信・個人情報保護
- 文章理解
① 一般知識(旧:政治・経済・社会)の対策
例年の「政治・経済・社会」は7~8問出題されていましたが、出題範囲がかなり広く曖昧で受験生の足切りを脅かす存在でした。
しかし、令和6年度から「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」が追加され、問題数が分散されることから「一般知識(旧:政治・経済・社会)」の問題数は例年より少なくなりました。
と言っても、対策しづらいことに変わりはないので、0~1問正解できればラッキーくらいに思いましょう。
勉強の優先順位は「低」
と考えるのがおすすめです。
ただし、過去に基礎知識で足切りとなってしまった行政書士試験リベンジ組であれば、多少は対策をしておきましょう。
対策方法は、日頃から新聞やニュースを見る。大学受験対策の参考書を読む。公務員試験の教養科目の参考書を読む。ということがおすすめです。
② 行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令の対策
出題範囲は「行政書士法」「戸籍法」「住民基本台帳法」などと絞られているため、この3つの条文を押さえましょう。
令和6年度から追加されたため、情報は少ないですが、現状では条文を理解しておけば得点できる科目です。
しっかりと対策をすれば得点源になるため、
勉強の優先順位は「高」
と考えるのがおすすめです。
ちなみに、令和6年度では2問出題されました。
③ 情報通信・個人情報保護の対策
「情報通信・個人情報保護」は出題範囲が絞りやすいため、得点源にすべき科目です。
特に、IT用語やその定義に関する問題は頻出ですので、日常生活で知らないIT用語を耳にした時は、インターネットのIT用語辞典で検索して用語と意味を覚えましょう。
また、「個人情報保護法」「情報公開法」「公文書管理法」などの条文知識を押さえることが重要ですので、過去問でしっかりと対策しましょう。
基礎知識科目の中では比較的得点しやすい科目のため、3問正解を目指して勉強しましょう。
勉強の優先順位は「高」
と考えるのがおすすめです。
④ 文章理解の対策
例年通り、3問で出題されるかは未定ですが、文書理解はすべて正解を目指しましょう。
行政書士試験の「空欄補充問題」「並べ替え問題」が簡単。とは言えませんが、解き方のコツを掴んでしまえば正解できます。
まずは、どちらも選択肢を見ることです。
- 選択肢の単語を空欄へ入れる。
- 「空欄に入れて出来た言葉」が他の文章中に使われていないか探す。
(各段落の序番にありがち。) - これを繰り返していく。
(念の為、選択肢が文の主張に沿った意味になっているかを確かめると良い。)
- 選択肢中の「接続詞(例えば、しかしなど)」「指示語(その〇〇は~)」に注目する。
- 選択肢ごとの重複するキーワードを探す。
(筆者の造語や主張に近い言葉であることが多い。) - そのキーワードが唐突に感じるならその前にキーワードを説明する文が選択肢にないか探す。
- これを繰り返していく。
そうすると、長文をすべて読まなくても正解が見つかりますし、時間短縮にもなります。
とは言っても、本番の緊張感で冷静に読解することは簡単ではないので、しっかりと過去問や模試で繰り返し訓練を積みましょう。
勉強の優先順位は「高」
と考えるのがおすすめです。
最後に 基礎知識は足切りを回避すればよい
以上、行政書士試験に出題される基礎知識科目とその攻略法について解説しました。
- 対策しやすい科目で足切り回避
- IT用語、個人情報保護法等の理解
- 文章理解はコツを掴み全問正解
基礎知識は足切りがあるため、不安になって全科目を対策しがちです。
しかし、一般知識は範囲が膨大ですので、行政書士法等、情報通信・情報保護、文章理解を重点的に勉強しましょう。
コラムを読まれた方が行政書士試験の合格を掴めるよう、どんどん執筆していきます!