行政書士試験の攻略

【行政書士試験】何から勉強し始めるべきか

前回の記事のまとめです。

行政書士試験とは
  • 行政書士資格を取得するための筆記試験
  • 受験資格は不要、合格基準点を超えれば誰でも合格可能
  • 出題形式は、五肢択一式、多肢選択式、記述式

行政書士試験は難関試験ではありますが、初学者でも正しく勉強すれば合格できます。

どうすればいい?
重要な箇所は?
難易度は?

行政書士試験に合格するために、まずは何から勉強すべきかを解説していきます。

行政書士試験の理解を深め、合格を掴みましょう!

この記事を書いた人
行政書士ヤマハチ 現役行政書士
30歳で行政書士事務所開業
1年目の売上16,500円という絶望から、開業3年目で売上1,800万円達成

行政書士試験の合格点を取る3つの戦略

行政書士試験は試験科目が多く範囲も広いため、時間に余裕を持ったスケジュールを組み、合格点から逆算して効率よく学習する必要があります。

そこでおすすめの3つの戦略をご紹介します。

  • 「行政法」と「民法」を重点的に学習
  • 「基礎知識科目」は合格基準点で十分
  • 過去問を取り入れた学習

① 「行政法」と「民法」を重点的に学習

行政書士試験で最重要科目と言われているのが「行政法」と「民法」です。

科目五肢択一式多肢選択式記述式配点
基礎法学2問8点
憲法5問1問28点
行政法19問2問1問112点
民法9問2問76点
商法/会社法5問20点
合計40問3問3問244点
行政書士試験|法令科目

上記のように、法令科目は問題数が計46問で配点が計244点となっております。

その244点のうち「行政法」「民法」が約8割の188点を占め、60点分の配点がある記述式(計3問)もこの2科目から出題されます。

これが「行政法」と「民法」が最重要科目と言われる理由です。

逆に、憲法・商法/会社法・基礎法学は、300点満点中56点で全体の2割にも満たないので深入りは禁物です。

まずは、核となるこの2科目で確実に正解できるよう重点的に学習しましょう。

特に、

「行政法」「民法」の五肢択一式(28問、112点分)は満点を取る

という気持ちで勉強することをおすすめします。

② 「基礎知識科目」は合格基準点で十分

基礎知識科目は、56点(全14問)のうち、24点(6問)未満が足切りラインです。

「行政法」「民法」の重点的な学習は大切ですが、法令科目で高得点だとしても、基礎知識科目で6問以上正解できなければ不合格となります。

さらに、基礎知識科目は出題範囲がとても広いため、対策がしづらいです。

そのため、初学者や初受験の方は、

最低でも6問正解、それ以上当たってたらラッキー

くらいに考えることがポイントです。

足切りに恐れず、自分と相性の合う基礎知識科目を学習して、法令科目の勉強に時間を使いましょう。

それでは、基礎知識科目の内容を紹介します。

基礎知識科目五肢択一式配点
一般知識(旧:政治・経済・社会)1問以上56点
行政書士法等行政書士業務と
密接に関連する諸法令(追加)
1問以上
情報通信・個人情報保護1問以上
文章理解1問以上
行政書士試験|基礎知識科目

一般知識(旧:政治・経済・社会)

令和5年度まで「政治・経済・社会」という科目でしたが、令和6年度から「一般知識」へ名称変更されました。

今まで「政治・経済・社会」は7〜8問出題されていましたが、出題範囲がかなり広く曖昧で受験生の足切りを脅かす存在でした。

しかし、令和6年度から「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」が追加され、問題数が分散されたため、初学者であれば捨てて良いと思います。

リベンジ組で対策に時間を割けるのであれば、日頃から新聞やニュース記事を読んで幅広い知識を身に着けておきましょう。

優先順位は「」と考えるのがおすすめです。

行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令(追加)

「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」では、「行政書士法」「戸籍法」「住民基本台帳法」などの知識が問われます。

令和6年度から追加されたため、情報は少ないですが、現状では条文を理解しておけば得点できる科目ですので、しっかりと対策しておきましょう。

優先順位は「」で対策しましょう。

情報通信・個人情報保護

「情報通信・個人情報保護」に関する内容が問われる分野なので、出題範囲が比較的絞りやすいです。

確認しておきたい法律の条文
  • 個人情報保護法
  • 行政機関個人情報保護法
  • 情報公開法
  • 公文書管理法

過去問を活用し、条文の知識に加えて、IT用語やその定義も学習しておきましょう。

得点源にしやすいため、優先順位は「」です。

文章理解

毎年必ず3問出題され、出題形式も固まっている文章理解では3問すべて正解することが重要です。

コツがわかれば正解できる科目のため、できるだけ過去問を解くなど問題演習を重ねておく必要があります。

優先順位は、「」として対策すべきです。

③ 過去問を取り入れた学習

試験対策は、過去問を見て出題傾向や頻出問題を知ることが一番重要です。

実際の問題を知ってから基礎知識をつけた方が理解が深まりますし、得意不得意の部分が明確になり対策がしやすいためです。

また、時間を測って過去問を解いてみることで、本番の時間配分の参考にもなります。

試験時間は180分で全60問が出題されるため、単純計算では1問あたり3分で回答するペースです。

しかし、記述式問題には3分以上使うことになるため、

得意分野はスピーディに解けるようにしておく

ということを覚えておきましょう。

行政書士試験の難易度と合格率の関係

難関国家資格ともいわれる行政書士試験の難易度について、合格率の数字を基に解説していきます。

行政書士試験の合格率は10%前後

年度受験申込者数受験者数合格者数合格率
令和6年度59,83247,7856,16512.90%
令和5年度59,46046,9916,57113.98%
令和4年度60,47947,8505,80212.13%
令和3年度61,86947,8705,35311.18%
令和2年度54,84741,6814,47010.72%
令和元年度52,38639,8214,57111.48%
平成30年度50,92639,1054,96812.70%
平成29年度52,21440,4496,36015.72%
平成28年度53,45641,0534,0849.95%
平成27年度56,96544,3665,82013.12%
平成26年度62,17248,8694,0438.27%
平成25年度70,89655,4365,59710.10%
参照:(財)行政書士試験研究センター|試験結果の推移

合格率は約10%で、10人受けても1人しか合格できない狭き門と言えます。

数字だけを見れば難しく感じますが、合格率が低い原因を知ると印象が変わるかと思います。

合格率が低い原因

  • 記念受験勢が一定数いる
  • 記述式の重い配点
  • 法律改正に伴う知識のアップデートが必要

① 記念受験勢が一定数いる

  • 行政書士試験は他の法律系国家資格の中では比較的取得しやすい
  • 受験資格が不要
  • マークシートの解答が多い
  • 6割以上を得点できれば合格

など、一見ハードルが低く見えるため、腕試しで受験するいわゆる「記念受験勢」が一定数いることも合格率が低い原因のひとつです。

そのため、難易度が高い=合格率が低い。と考えることは間違いではないですが、個人的には行政書士試験が超難関試験だとまでは言えないと思います。

② 記述式の重い配点

行政書士試験で出題される記述式問題は3問と少ないのですが、配点が1問20点で計60点です。

マークシートの択一式とは違い、適当に解答して正解できるような問題ではなく、問われている内容を把握したうえで、解答を40字程度にまとめる力も必要となります。

部分点や採点基準が公開されていないことも記述式が難しいとされるポイントです。

ただ、「行政法」「民法」を重点的に学習して過去問で訓練すれば、半分の30点は得点できると思われます。

③ 法律改正に伴う知識のアップデートが必要

法改正があれば改正点を新たに覚えなおす必要があります。

過去のテキストを使い回して行政書士試験を勉強してしまうと、法改正に伴って現在では成立しないような問題が含まれている可能性があります。

ただ、法改正された箇所が試験で問われる重要ポイントでなければ、軽い対策で十分です。

法改正に対応した最新のテキストで学習すれば間違いないです。

最後に 勉強は行政法と民法から始めよう

行政書士試験は何から勉強し始めるべきかを解説しました。

どれだけ試験科目が多く範囲が広いと言っても、試験の全体像を知って合格点から逆算すれば、合格への道が見えてくるはずです。

行政書士試験合格の3つの戦略
  • 「行政法」と「民法」を重点的に学習
  • 「基礎知識科目」は合格基準点で十分
  • 過去問を取り入れた学習

難易度が高いと言われていても自分が得点できれば何も問題ありません。
行政書士試験については、上記の戦略で進めましょう。

次回は、どれだけ勉強時間をかければいいのかを解説しようと思います。

コラムを読まれた方が行政書士試験の合格を掴めるよう、どんどん執筆していきます!

以下の記事が続きになります。ご参考になれば幸いです。