行政書士は難関国家資格の一つと言われていますが、行政書士試験には合格基準点が明確に設けられているため、初学者でも正しく勉強すれば合格できます。

どんな試験なの?
合格の基準は?
問題の形式は?
ここでは、行政書士試験の概要や難易度、勉強方法などを解説していきます。
行政書士試験の理解を深め、合格を掴みましょう!
行政書士試験とは何かを知る

行政書士試験とは、
行政書士資格を取得するために行われる筆記試験(選択式、記述式)
です。
他にも行政書士になる方法はありますが、行政書士試験に合格することが一般的です。
試験概要
試験会場 | 全国約60か所(大学、多目的ホール、ホテル等) |
試験日 | 毎年11月の第2日曜日 |
試験時間 | 13:00~16:00(休憩なし) |
受験料 | 10,400円 |
受験資格 | 年齢、学歴、国籍に関係なく誰でも受験できる |
試験科目 | 【法令科目】 基礎法学、憲法、行政法、民法、商法/会社法 【基礎知識科目】 一般知識、情報通信・個人情報保護及び文章理解、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令 |
出題形式 | 五肢択一式、多肢選択式、記述式 |
合格基準 | 以下の要件全てクリアで合格 ・法令科目が122点以上(244点満点) ・基礎知識科目が24点以上(56点満点) ・全体の得点が180点以上(300点満点) |
試験の流れ
7月第2週 試験の公示・試験案内の配布 |
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試験の実施日程、試験概要、試験の案内の配布場所が発表になるので、自宅付近の試験会場・受験願書の配布場所などの詳細を確認しておきましょう。 郵送で受験申込みをする場合は「受験願書・試験案内」の用意が必要です。 |

7月下旬 受験申込 |
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受験申込みには「郵送」と「インターネット」があり、申込み期間が異なるため注意が必要です。 |

10月中旬~下旬 受験票の送付 |
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受験番号、試験会場の確認をしておきましょう。 |

11月第2日曜日 試験 |
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試験は3時間で休憩はありません。(13:00~16:00) |

1月第5週 合格発表 |
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合否通知書(はがき)が発送されます。 |
試験科目と配点
配点は「法令科目」に重点が置かれ、その中でも特に「行政法」と「民法」の配点が大きくなっています。
分野 | 科目 | 問題数 | 配点 | |
法令科目 | 憲法 | 6問 | 28点 | 244点 |
行政法 | 22問 | 112点 | ||
民法 | 11問 | 76点 | ||
商法/会社法 | 5問 | 20点 | ||
基礎法学 | 2問 | 8点 | ||
基礎知識科目 | 一般知識 | 14問 | 56点 | |
行政書士法等行政書士業務と 密接に関連する諸法令 | ||||
情報通信・個人情報保護 | ||||
文章理解 |
※令和6年度試験から「行政書士の業務に関連する一般知識等」が「行政書士の業務に関し必要な基礎知識」へ、「政治・経済・社会」が「一般知識」へ名称変更され、「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」が追加となりました。
行政書士試験の合格基準を知る

行政書士試験は受験資格が不要で「絶対評価の試験」であるため、受験者が何万人いようと合格基準点を超えれば誰でも合格することができます。
合格基準点と足切りの例
行政書士試験には足切りが設けられているため、以下の3つの条件をクリアしなければ合格とはなりません。
- 法令科目が122点以上(244点満点)
- 基礎知識科目が24点以上(56点満点)
- 全体の得点が180点以上(300点満点)
足切り 例1 | 法令科目 | 基礎知識科目 | 合計点数 |
160/244点 | 20/56点 | 180/300点 |
例1は、合格基準の①と③はクリアしていますが、「基礎知識科目」が20点であり、合格基準の②を満たさないため、足切りで不合格です。
足切り 例2 | 法令科目 | 基礎知識科目 | 合計点数 |
122/244点 | 56/56点 | 178/300点 |
例2は、「基礎知識科目」で56点満点を獲得していたとしても、合計点数は178点であり、合格基準の③を満たさないため、足切りで不合格です。
つまり、180点を上回るためには「法令科目」で124点以上を獲得する必要があります。
行政書士試験の出題形式を知る

問題の出題形式
行政書士試験の問題は3つの出題形式があります。
- 五肢択一式問題
- 多肢選択式問題
- 記述式問題
どのように出題されるのかを具体的に理解し、1点でも多く得点しましょう。
① 五肢択一式問題
5つの選択肢の中から正しいもの、誤っているものを1つ選びマークシートに解答する形式です。
問題の中では五肢択一式が一番多いです。
以下は過去の試験問題の引用です。
問題12 行政手続法の定める聴聞に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 聴聞の当事者または参加人は、聴聞の終結後であっても、聴聞の審理の経過を記載した調書の閲覧を求めることができる。
2 聴聞の当事者および参加人は、聴聞が終結するまでは、行政庁に対し、当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。
3 当事者または参加人は、聴聞の期日に出頭して、意見を述べ、証拠書類等を提出し、主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問を発することができる。
4 当事者または参加人は、聴聞の期日への出頭に代えて、主宰者に対し、聴聞の期日までに陳述書および証拠書類等を提出することができる。
5 当事者または参加人が正当な理由なく聴聞の期日に出頭せず、陳述書等を提出しない場合、主宰者は、当事者に対し改めて意見を述べ、証拠書類等を提出する機会を与えなければならない。
令和5年度行政書士試験問題
ちなみに、誤っているものは「5」です。
「〜主宰者は、当事者に対し改めて意見を述べ、証拠書類等を提出する機会を与えなければならない。」の部分が誤りとなります。
根拠は、行政手続法23条1項にて、「〜これらの者に対し改めて意見を述べ、及び証拠書類等を提出する機会を与えることなく、聴聞を終結することができる。」とあるためです。
② 多肢選択式問題
用意された20個の語句の中から空欄に当てはまるものを選び解答する形式です。
1問に4箇所の空欄があり、1箇所につき2点が配点されているため、1問で計8点となります。(全3問、24点)
五肢択一式問題とは違い、部分点をもらうことができるため、ひとつでも多く解答を埋めていくことが大切です。
判例をもとにした問題が出題されることが多いため、キーワードとなる単語を意識しながら読み進めていくのがポイントです。
以下は過去の試験問題の引用です。

③ 記述式問題
事例問題に対し、40文字程度の記述で解答する形式です。
部分点はもらえますが、なんでも書き込めるほど文字数は多くないので、要点を押さえた解答が求められます。
そのため、法律用語・キーワードをきちんと覚えておきましょう。
また、誤字脱字は減点の対象となるので注意です。
以下は過去の試験問題の引用です。

出題形式の配点
「五肢択一式」「多肢選択式」「記述式」の配点は次の通りです。
出題形式 | 問題数 | 点数 | 配点 | |
---|---|---|---|---|
法令科目 | 五肢択一式 | 40問 | 4点 | 160点 |
多肢選択式 | 3問 | 8点 | 24点 | |
記述式 | 3問 | 20点 | 60点 | |
基礎知識科目 | 五肢択一式 | 14問 | 4点 | 56点 |

五肢択一式問題は計54問と圧倒的に問題数が多く、配点は計216点で全体の約70%を占めます。
また、記述式問題は3問しか出題されないですが、1問20点で計60点と配点が高いことから、行政書士試験において記述式問題が合否を分けるカギとなるでしょう。
最後に 行政書士試験の全体像を知れば戦略を立てられる
行政書士試験の概要は以上です。
- 行政書士資格を取得するための筆記試験
- 受験資格は不要、合格基準点を超えれば誰でも合格可能
- 出題形式は、五肢択一式、多肢選択式、記述式
試験の全体像を理解できましたでしょうか。
次回は、何を重点的に勉強すればいいのか、難易度はどれくらいかなど、「何から勉強すべきか」を解説します。
コラムを読まれた方が行政書士試験の合格を掴めるよう、どんどん執筆していきます!
以下の記事が続きになります。ご参考になれば幸いです。