前回の記事のまとめです。
- 「行政法」と「民法」を重点的に学習
- 「基礎知識科目」は合格基準点で十分
- 過去問を取り入れた学習
行政書士試験は難関試験ではありますが、初学者でも正しく勉強すれば合格できます。

何時間勉強するの?
合格する人の特徴?
勉強で大事な事は?
行政書士試験に合格するにはどれくらいの勉強時間が必要なのかを解説していきます。
行政書士試験の理解を深め、合格を掴みましょう!
行政書士試験の合格に必要な時間と合格者の実態

合格者の平均勉強時間は600~1,000時間
行政書士試験の合格までに必要な勉強時間は600~1,000時間と言われています。
試験当日(11月の第2日曜日)まで、
何月から始めたら、1日あたりどれくらい勉強時間が必要か
という目安は、次の通りです。
勉強開始月 | 1日あたりの勉強時間 |
---|---|
2月 | 2~3時間 |
5月 | 4~5時間 |
7月 | 6~7時間 |
あくまでも単純計算ですが、法律初学者が7月から勉強開始して一発合格するのは厳しいと思います。
「じゃあ、毎日2~3時間の勉強が簡単か?」というと、これもかなりの覚悟が必要です。
600~1,000時間って、なぜ400時間の差があるの?
600~1,000という数字はあくまで統計値のため、ばらつきが出て当然ですが、その中でも短期間(600時間)で合格できる人の正体をお伝えします。
- 大学の法学部出身で法律知識が身についている人
- 他資格で合格している人
- 予備校や通信講座を受講している人
① 大学の法学部出身で法律知識が身についている人
行政書士試験の約8割は、法令科目(行政法・民法・憲法・商法・基礎法学)です。
一般的に、大学の法学部は法律の基本六法(憲法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法)が必修科目となっています。
そのため、法律知識がある法学部出身の方は行政書士試験にかなり有利です。
残りの約2割は基礎知識科目ですが、これも文章理解能力や大学受験の突破力を備えた大学生は有利と言えます。
ちなみに、私の知人に法学部出身者がいました。

合格はできて当然。
当日は何点まで取れるか。
という脅威のプレッシャーとモチベーションで挑んでいたようです…。すごいですね。
ただ、こういう方々は毎年約5万人いる受験生の中でも1%未満だと思います。
② 他資格で合格している人
宅地建物取引士や土地家屋調査士などの他資格合格者がダブルライセンスとして、行政書士資格を取得する。という方もいます。
特に宅建士は民法など共通する試験科目があるため、行政書士試験の勉強は比較的始めやすいです。
③ 予備校や通信講座を受講している人
法律初学者が最短合格を目指したいなら勉強方法を教えてくれる先生が必要不可欠です。
最初はみなさん、法律用語も試験対策のコツも何もわからない状態だと思います。
特に、初学者で独学の場合は、
「やっと何となくコツがわかってきたぞ」となるまでに200時間くらいかかるのでは?
と思います。(そこから先も道は険しいですが…。)
一般的に、通信講座の受講料は10~20万円かかりますが、「お金で時間を買える」言わば、未来への投資ができるなら高すぎることはないです。
効率良く勉強を進められて比較的短期間で合格できるため、予備校や通信講座を活用してみてもいいと思います。
以下の記事におすすめ通信講座をまとめたので、興味がある方はぜひ。
まとめると勉強時間の目安は次の通りです。
- 法律学経験者:600時間
- 試験対策講座受講生:600時間
- 独学等:1,000時間
勉強に時間がかかる理由と勉強法

法律知識のある人や先生が味方にいる人は、比較的短時間で合格できます。
それでも、なぜ勉強時間が600~1,000時間かかってしまうのか。
理由を挙げてみます。
- 試験範囲の広さ
- 人間は忘れる生き物
① 試験範囲の広さ
1つ目は、行政書士試験の範囲の広さが原因です。
分野 | 科目 | 問題数 | 配点 | |
法令科目 | 憲法 | 6問 | 28点 | 244点 |
行政法 | 22問 | 112点 | ||
民法 | 11問 | 76点 | ||
商法/会社法 | 5問 | 20点 | ||
基礎法学 | 2問 | 8点 | ||
基礎知識科目 | 一般知識 | 1問以上 | 56点 | |
行政書士法等行政書士業務と 密接に関連する諸法令 | 1問以上 | |||
情報通信・個人情報保護 | 1問以上 | |||
文章理解 | 1問以上 |
ちなみに、この試験範囲全てを網羅するならもっと勉強時間がかかると思ってください。
むやみやたらに勉強し始めても先が見えず苦難の連続です。
そのため、合格基準点(180点)を確実に取るために、
無駄を排除して重点的に勉強する箇所を決めること
がとても重要です。
そういった試験対策をしてやっと600~1,000時間に収まるもの。と覚悟を決めましょう。
② 人間は忘れる生き物
2つ目は、人間は一度記憶しても忘れてしまう生き物だからです。
人は物事を理解できると、瞬間的には100%記憶できています。
しかし、翌日には忘れてしまってることもあると思います。
例えば、こんな場面をイメージしてください。

昨日(15日)の夕飯は何を食べたの?

え〜っと、なんだっけな〜
あ、パスタを食べたよ!
と、少し時間をかけて思い出したとします。
その翌日に同じ質問をされたとします。

一昨日(15日)の夕飯は何を食べましたか?

昨日パスタって答えたから…

パスタを食べたよ!
と、割とすぐに答えられます。
またその翌日に、

3日前(15日)の夕飯は…

パスタ!!!
と、即答できると思います。
これが続けば、同じように1週間経ってもすぐに答えられると思います。
しかし、この前提がなく「1週間前の夕飯は何を食べましたか?」と急に聞かれた場合は、ほとんどの方が即答できないと思います。
質問の難易度は全然違いますが、行政書士試験でも同様です。
特に絶対暗記しなければならない部分は、「パスタ!!!」と反射的に答えられるくらい訓練を積むことが重要です。
こういった「学習後の時間経過によって記憶がどれくらい変化するか」を表す曲線でよく知られているのが「エビングハウスの忘却曲線」です。

100%理解した後に復習しなかった場合、1日後には74%も忘れているそうです。
しかし、定期的な復習を重ねることで、理解度を100%に近づけていくことができます。
つまり、行政書士試験の勝負は、
試験範囲を何回復習して記憶に定着させ、試験当日に思い出すことができるか
です。
広い試験範囲を科目の各分野で区切って「理解⇄復習」を繰り返していると、必然的に勉強時間はかかってしまうものです。
最後に 勉強に時間をかけられるかどうか
行政書士試験合格に必要な勉強時間について解説しました。
- 合格者の平均勉強時間は600~1,000時間
- 法律学経験者・試験対策講座受講生は短期間で合格
- 広い試験範囲の復習を何周できるかが重要
法律初学者の方にとって、行政書士試験は難しく勉強に時間がかかるのは当然です。
予備校や通信講座では、試験に出る部分をピックアップしてまとめたテキストがあるから復習も比較的容易にでき、短期間での合格が望めます。
独学でも試験対策テキストがたくさん出版されてるので、時間はかかってしまいますが、合格も可能です。
次回は、試験日から逆算して「いつからどの科目/出題形式を勉強すればいいか」を解説しようと思います。
コラムを読まれた方が行政書士試験の合格を掴めるよう、どんどん執筆していきます!
以下の記事が続きになります。ご参考になれば幸いです。