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開業ノウハウ

【意外と大変!?】行政書士の新規登録申請を徹底解説!!

行政書士資格を活かして独立開業を決意したとき、最初に立ちはだかるハードルが行政書士登録申請です。

もちろん私も登録申請を経験していますが、想像以上に大変な手続きでした…。

行政書士を名乗り、行政書士として仕事をするためには行政書士登録申請は必須の手続きです。

登録申請は行政書士の実務と似ているため、個人的には行政書士への登竜門だったと感じます。

行政書士の登録申請ってなに?
登録料はどれくらい必要なの?
今のうちに準備しておくべきことは?

そんな方へ、現役の行政書士が意外と手間のかかる行政書士登録申請について手続きの流れやポイントを細かく解説していきますので、ぜひ参考にして下さい。

この記事を書いた人
行政書士ヤマハチ 現役行政書士
30歳で行政書士事務所開業
1年目の売上16,500円という絶望から、開業3年目で売上1,800万円達成

行政書士の登録申請とは

行政書士の登録申請とは、日本行政書士会連合会(通称:日行連)が備える行政書士名簿に登録を受けるための申請手続きです。

前述した通り、行政書士として活動していくためには、登録申請は必須の手続きです。

日本行政書士会連合会|新規登録の流れ

申請手続きは都道府県行政書士会(例:東京都行政書士、埼玉県行政書士会など)を通じて行う必要があるので、自身が開業する都道府県の行政書士会を把握しておきましょう。

各都道府県の行政書士会所在地(参照:日本行政書士会連合会)

行政書士登録申請の流れ

行政書士登録申請は大きく4つのステップに分けられます。

1. 行政書士事務所の確保

事務所の確保が最初の難関です。

行政書士法に定められているように、行政書士として独立するには事務所の確保は絶対です。

行政書士(行政書士の使用人である行政書士又は行政書士法人の社員若しくは使用人である行政書士を除く。) は、その業務を行うための事務所を設けなければならない。 
2 行政書士は、前項の事務所を2以上設けてはならない。 
3 使用人である行政書士等は、その業務を行うための事務所を設けてはならない。

行政書士法 第8条

それでは、行政書士事務所の確保に関する4つのポイントを解説していきます。

  • 行政書士事務所には設置要件がある
  • 個人開業の行政書士事務所の形態
    ・賃貸で行政書士事務所を探すなら
    ・「レンタルオフィス」はあり?
  • 事務所名を決めておこう
  • 事務所に備えておく設備

1-1. 行政書士事務所には設置要件がある

行政書士事務所には、事務所の設置要件が定められているので注意しましょう。

例えば、独立した事務スペースと接客スペースが確保されていること、業務に必要な設備が備わっていることなどです。

事務所の設置要件については、こちらの記事にまとめているのでご参考にしてみてください。

1-2. 個人開業の行政書士事務所の形態

個人開業の行政書士事務所の形態は、大きく分けて4パターンあります。

個人開業の行政書士事務所の形態
  1. 自宅兼事務所
  2. 自宅以外の独立事務所
  3. 共同事務所
  4. 合同事務所

共同事務所:複数の行政書士同一室内に事務所を設置する場合の形態

合同事務所:他士業者と行政書士同一室内に事務所を設置する場合の形態

多くの方は、1.自宅兼事務所または2.自宅以外の独立事務所のいずれかで悩むと思うので、メリット、デメリットをまとめてみました。

1-2-1. 自宅兼事務所
メリット
  1. 事務所の家賃を節約できる
  2. 通勤時間が無くなる
  3. 自宅の家賃を地代家賃費として経費計上できる
デメリット
  1. 信頼、信用力が低下する
  2. 居住スペースと事務所スペースを明確に区分けする必要がある
  3. 賃貸物件の場合、オーナーや管理会社からの承諾が必要

毎月の固定費を抑えられるのが最大のメリットと言えるでしょう。

しかし、居住スペースと事務所スペースは明確に区分けしなければなりません。

また、居住スペースを通らなければならない構造の場合は、パーテーションなどの間仕切りで、入り口から事務所へ行くための独立した通路の確保が必要です。

最近はZOOMやGooglemeat等を活用すれば、オンラインでの相談対応も可能ですので、うまく活用すると良いでしょう。

1-2-2. 自宅以外の独立事務所
メリット
  1. 仕事とプライベートのメリハリがつけられる
  2. 自宅兼事務所より安心してお客様を招くことができる
  3. アクセスの良さなどプラスとなる条件を考慮できる
デメリット
  1. 事務所家賃の発生に加えて初期費用もかかる
  2. 自宅から距離がある場合は交通費がかかる
  3. 物件探しに時間がかかる
1-2-3. 賃貸で行政書士事務所を探すなら

賃貸事務所を選ぶ際の基準は人それぞれですが、私は下記5つの基準を重要視しました。

事務所探しでチェックすべき5つの基準
  1. 行政書士事務所で借りられるか
  2. 家賃
  3. アクセス
  4. 事務所内の設備・清潔感
  5. 事務所近辺の状況
1-2-3-1. 行政書士事務所で借りられるか

基本的に問題になることはありませんが、必ず「行政書士事務所」として借りられる物件かどうかを確認しておきましょう。

1-2-3-2. 家賃

家賃は開業当初の売上が無い時期でも必ず支払うことになります。自身の資金状況や収支計画をもとに慎重に決めましょう。

また、賃貸の場合は敷金や礼金、仲介手数料などの初期費用が発生する場合がほとんどなので、その点も加味しておく必要があります。

1-2-3-3. アクセス

ご来所されるお客様のためにも、駅から徒歩5〜10分圏内が理想です。

ただし、開業する地域や自身の取扱業務、メイン顧客が個人のお客様か法人のお客様かによっても異なります。

個人のお客様からのご依頼が中心になるのであれば、アクセスの良さは重要です。

1-2-3-4. 事務所内の設備・清潔感

エアコンや暖房設備、お手洗い、共有スペース等の設備や清潔感も大切です。

事務所としての快適さももちろんですが、何よりも、お客様がご来所されたときに不快感や不信感を与えてしまうことの無いような事務所を選びましょう。

1-2-3-5. 事務所近辺の状況

近くに郵便局、銀行があると便利です。

また、取扱業務によって異なりますが、頻繁に足を運ぶことになる役所が近くにあると尚良いでしょう

弁護士事務所が裁判所周辺に多いのがわかりやすい例と言えますね。

1-2-4. 「レンタルオフィス」はあり?

結論、個人的にはオススメです。

私も開業当初は、レンタルオフィスを活用しました。

レンタルオフィスのメリット
  1. 通常の賃貸オフィスより初期費用も家賃も安い
  2. ネット回線、コピー機、プリンター等の設備が最初から整っている
  3. 様々なスタートアップ企業や他士業と繋がるチャンスがある

レンタルオフィスの活用を検討されている方はこちらの記事も参考にどうぞ!

1-3. 事務所名を決めておこう

行政書士は、行政書士事務所であることが明確にわかるよう表札を掲示する義務があります。

このタイミングでまだ事務所名が決まっていない方は決めておくと良いでしょう。

事務所の名称の決め方はこちらの記事にまとめているのでご参考にしてみてください。

1-4. 事務所に備えておく設備

事務所が確保できたら、業務で必要となる備品を準備します。

行政書士会によっては登録完了前に現地調査が実施されますので、下記の物は最低限揃えておきましょう。

最低限揃えておく物
  • パソコン
  • デスク、椅子
  • 電話(携帯電話OK)
  • 応接セット(テーブル、椅子)
  • プリンター、スキャナー
  • 書類保管庫(鍵付きキャビネットOK)
  • 金庫(キャッシュボックスOK)
  • 書棚

行政書士の必要なアイテムはこちらの記事に全てまとめましたので参考にどうぞ!

2. 申請書の準備

2-1. 行政書士の登録申請に必要な書類

事務所が確保できたら、申請書の準備に取り掛かります。

申請書の様式は都道府県行政書士会によって多少異なるので、自身が所属する都道府県行政書士会のホームページから入手しましょう。

行政書士会への申請書類例
  • 登録申請書
  • 履歴書
  • 誓約書
  • 入会届
  • 事務所写真
  • 行政書士試験の合格証
  • 住民票(本籍地記載)
  • 身分証明書(市区町村発行のもの)
  • 戸籍抄本
  • 事務所の賃貸借契約書
  • 顔写真  など

都道府県行政書士会に新規登録者向けの資料が用意されているので、資料によく目を通してから書類の準備に取り掛かりましょう。

また、念のため申請書類一式が完成したら、提出前にすべてコピーを取っておくことをオススメします。

2-2. 行政書士の登録費用

都道府県行政書士会によって異なりますが、登録費用として約30万円が必要となります。

項目金額
入会金200,000円
登録手数料25,000円
登録免許税30,000円(収入印紙)
会費(3か月分)18,000円
政治連盟会費(3か月分)3,000円 ※加入する場合
必要物品費10,000円程度
合計286,000円
東京都行政書士会の場合

行政書士会によって現金払い、事前振込、クレジット決済など支払方法が様々ですので、事前に登録予定の行政書士会のホームページや資料で確認しておきましょう。

3. 都道府県行政書士会へ提出→審査

都道府県行政書士会への登録申請が受理されたら審査期間に入ります。

審査期間は約2〜3週間だったり、約1〜2か月だったりと行政書士会によって多少異なります。

審査期間はまだ行政書士を名乗ることができず、依頼を受任することもできません。

なので、この期間で準備すべきことを全て終わらせていきましょう

審査期間のうちにやっておくべきこと

やっておくべきことの例

ちなみに開業までに購入した備品等に関する出費は、開業費として計上できますので、必ず全ての領収書を保管しておきましょう

4. 登録完了後にすること

審査が完了すると、行政書士登録通知書が届きます。

同封書類に登録年月日や登録番号が記載され、登録証交付式の詳細についても案内を受けます。

登録完了後にやるべきこと
  1. 登録証交付式への参加
  2. 銀行口座の開設
  3. 開業届・青色申告承認申請

4-1. 登録証交付式への参加

登録証交付式とは、行政書士登録証(賞状のような)を交付してもらう式です。

イメージ的には行政書士の入学式です。

同じ時期に行政書士登録が完了した、いわゆる「同期」が一堂に会する場でもあります。

交付式は、3〜4時間ほどで終了します。

都道府県行政書士会によって交付式のプログラムは多少異なるかと思いますが、基本的には、
・登録証の交付
・配布資料の案内
・行政書士証票や徽章(バッジ)の配布

があり、「行政書士としての心構えや注意点」などのありがたい(?)お話もしていただけます。

また、大量の書類や備品を持ち帰らなければならないので、大きめの紙袋やリュックを持参しましょう。

4-2. 銀行口座の開設

登録証交付式を無事に終えたら、事務所の銀行口座を開設しましょう。

既に開設している個人口座でも良いですが、銀行口座は事務所名がしっかり入っている方がお客様からの見栄えは良いです。

さらに、出入金の管理もしやすくなるため、特段の事情が無ければ事務所用の口座は必ず開設しておきましょう。

4-3. 開業届・青色申告承認申請

銀行口座が開設できたら、最寄りの税務署へ「開業届」「青色申告承認申請書」を提出します。

開業届とは、個人事業主として事業活動を始めるための手続きです。

会計ソフトを導入すれば、必要事項を入力するだけで簡単に開業届、青色申告承認申請書が作成できます。

私は会計ソフトfreee会計を活用して、開業届・青色申告申請の書類作成を行いました。

インボイス登録はした方がいいの?

インボイスについて私は登録しませんでした。

会社員の頃はインボイス自体あまり知らなかった。と言うより自分には直接関係がなかった制度なので、そもそも関心がありませんでした。

「個人事業主ならインボイス制度に詳しくなければ…。」と思い、色々と調べた結果、個人的には登録はしなくていいと判断しました

理由は個人のお客様からのご依頼が中心になると判断したからです。

インボイスについては、脱・税理士スガワラくんという税理士さんのYouTubeチャンネルにて、わかりやすく解説されているので是非ご覧ください。

最後に やること多くて意外と大変

以上、行政書士登録申請の徹底解説でした。

行政書士の登録申請は、

必要な書類を調べて把握する

書類の作成、収集、提出する

と、全体の流れが行政書士の実務とかなり似ているので、まさに行政書士になるための登竜門だと言えます。

登録申請は独立開業に向けた大きな1歩目です!

余裕を持って確実に登録申請の準備を進めて、行政書士として羽ばたいていきましょう。

行政書士の開業準備を進めている方はこちらの記事も要チェックです!