いざ行政書士試験に合格したはいいものの、
登録はすぐにしないといけないの?
合格資格に有効期限はあるの?
いつ登録すればいいの?
と思う方もいるのではないでしょうか。
本記事では、そんな疑問や悩みについて現役の行政書士が解説いたします。
行政書士試験の勉強中!合格した!これから挑戦するぞ!という方の参考になれば幸いです。
すぐに行政書士登録をしなくても良い理由

合格資格に有効期限はない
行政書士試験に合格した後、「合格証」が送られてきます。
この合格証には有効期限がないため、行政書士試験合格という資格は生涯有効です。
つまり、一度でも合格すれば、数年後や数十年後でも行政書士登録が可能です。
例えば、次のような理由で合格から期間を空けて行政書士登録をする方もいます。
- 開業資金をしっかり貯めたい
- 現職中に経営や実務の勉強をしたい
- 定年後のセカンドライフとして挑みたい
行政書士資格を持っておけば、自分のライフステージに合わせて好きなタイミングで行政書士登録をすることができます。
ちなみに、「合格証」は行政書士登録の際に必要ですので、大切に保管しておきましょう。
参考までに、「合格証」が送られてくるまでの流れをまとめました。
1.合格発表 | 行政書士試験研究センター事務所の掲示板及びHPで 1月最終週の水曜日から1週間の公示 |
2.合否通知書 | 受験者全員へ 公示後に圧着はがきで発送 |
3.合格証 | 合格者へ 2月中旬から簡易書留で発送 |
万が一、紛失した場合は、各都道府県の総務局や総務部などで「合格証明書」の交付申請ができるそうです。
独立開業の準備には時間がかかる
行政書士資格の活かし方として、独立開業をすることができます。
しかし、「独立=起業」ですので、中途半端な準備で起業すると廃業のリスクは避けられないでしょう。
独立開業に挑戦する方なら、
絶対に失敗したくない
というのが本音だと思います。
であれば尚更、スタートダッシュを決められるよう念入りに開業準備をすべきです。
私自身、色々と模索して慎重に開業したつもりでしたが、現実を知り、廃業を覚悟したこともあります。
これから独立開業を検討している方に向けて、限界点からV字回復した私の経験を記事にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
お得な情報を少しでも届けられるようどんどん執筆していきます。
試験合格の時点でキャリアに活かせる
行政書士試験の合格者であれば、行政書士登録せずとも自身のキャリアへ活かせます。
例えば、行政書士事務所の求人情報では、
・行政書士資格をお持ちの方
・有資格者歓迎
・未経験OK
という条件欄の記載をよく見かけます。
「行政書士有資格者」と呼ばれる者の中には、行政書士試験合格者も含みます。
次の各号のいずれかに該当する者は、行政書士となる資格を有する。
行政書士法 第2条
一 行政書士試験に合格した者
二 弁護士となる資格を有する者
三 弁理士となる資格を有する者
四 公認会計士となる資格を有する者
五 税理士となる資格を有する者
六 国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間及び行政執行法人(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第4項に規定する行政執行法人をいう。以下同じ。)又は特定地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第2項に規定する特定地方独立行政法人をいう。以下同じ。)の役員又は職員として行政事務に相当する事務を担当した期間が通算して20年以上(学校教育法(昭和22年法律第26号)による高等学校を卒業した者その他同法第90条に規定する者にあっては17年以上)になる者
つまり、行政書士試験に合格した時点で就職や転職に有利と考えていいでしょう。
独立開業にはまだ自信がないかも…。
という方なら、行政書士実務の経験を積むために、将来の独立を見据えて、まずは行政書士事務所で働くということも一つの手です。
登録しなかったらどうなるの?

行政書士の仕事ができない
前提として、行政書士試験に合格したからと言って、「行政書士」と名乗ることはできません。
行政書士試験の合格者は、行政書士となる資格を有する者(行政書士有資格者)であって、「行政書士」ではありません。
「行政書士」として名乗ることや仕事をするためには、行政書士登録が必要です。
万が一、未登録で行政書士業務を行うと行政書士法違反で罰則の対象となります。
(業務の制限)
行政書士法 第19条
行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第1条の2に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。
仮に、試験合格を身近な人に伝えた際、「合格したなら仕事をお願いしたいな」と言われても気軽に引き受けないようにしましょう。
行政書士有資格者という名称に注意?
行政書士試験に合格したなら「行政書士有資格者」ではありますが、実は「行政書士有資格者」と公的に名乗ることには注意が必要です。
行政書士法には次のような定めがあります。
(名称の使用制限)
行政書士法 第19条の2
行政書士でない者は、行政書士又はこれと紛らわしい名称を用いてはならない。
行政書士登録をしていない方は「行政書士」ではないため、もちろん行政書士有資格者も「行政書士」ではありません。
しかし、一般的に行政書士有資格者と聞けば、「この人は行政書士なんだ」と誤解される可能性があります。
そのため、仕事の関係で名刺を作成する、または名乗る場合は、
- 行政書士試験合格者
- 行政書士有資格者(未登録)
- 行政書士有資格者(○年○月開業予定)
などと書く方がいいでしょう。
ちなみに、私は開業前に交流をすることがなかったので、そのような名刺を作る機会もありませんでした。
同様に、「営業活動は開業後」と決めているなら、あらかじめ行政書士の名刺を作成しておいて、開業後に配り始めるのがいいでしょう。
(でも名刺を作成すると、実感が出てきてすぐに配りたくなっちゃいます笑)
行政書士の登録申請

行政書士として活動するためには、行政書士の登録申請が必要です。
申請手続きは都道府県行政書士会を通じ、日本行政書士会連合会にて登録が行われます。

この登録申請が想像以上に大変です…。
こちらの記事で行政書士登録申請の流れや準備すべきことを徹底解説していますので、必見です!
最後に 登録はゆっくりでも合格はお早めに
以上、行政書士試験に合格してもすぐには行政書士登録をしなくても良い理由でした。
- 合格資格に有効期限はない
- 独立開業の準備には時間がかかる
- 試験合格の時点でキャリアに活かせる
行政書士は、自分のライフステージに合わせて登録(独立開業)のタイミングを調整できるため、今後のキャリアビジョンの選択肢に入れておきたいオススメの資格です。
余談ですが、有名インフルエンサーが起業系ドキュメンタリーの長期企画をYouTubeに公開して、ここ2〜3年でかなり注目を集めています。
その勢いもあってか、これから先の2027年以降では、起業ブームが到来し、起業者が増え、有益な情報が今よりも飛び交っているだろう。と各地で噂されています。
行政書士はニッチな分野なので、競合が少なく今ですら戦略次第で勝てますし、仮にブームから新たに始めようとも試験合格が早くて1〜2年かかるという参入障壁もあります。
つまり、これから行政書士試験の勉強を始めて独立開業=起業しても、人生を変えられるチャンスが十分にあるということです。
独立開業者に追い風が吹くだろうと予想します。
いつでも登録できることがメリットですので、タイミングを逃さないよう行政書士試験の合格は早めに済ませておくことをオススメします。
こちらは行政書士試験に興味がある方必見の記事です!