行政書士試験の足切りって何?
足切りを回避したい!
という方へ、行政書士試験で注意すべき「足切り」について、現役の行政書士が解説します。
足切りを回避するためのコツもまとめましたので、参考になれば幸いです。
行政書士試験の足切りとは?

行政書士試験は明確な合格基準点があります。
- 法令科目が122点以上(244点満点)
- 基礎知識科目が24点以上(56点満点)
- 全体の得点が180点以上(300点満点)
上記の合格基準点を1つでも満たせなかった場合、足切りで不合格となってしまいます。
参考までに、各科目の配点は次のとおりです。
分野 | 科目 | 問題数 | 配点 | |
法令科目 | 憲法 | 6問 | 28点 | 244点 |
行政法 | 22問 | 112点 | ||
民法 | 11問 | 76点 | ||
商法/会社法 | 5問 | 20点 | ||
基礎法学 | 2問 | 8点 | ||
基礎知識科目 | 一般知識 | 14問 | 56点 | |
行政書士法等行政書士業務と 密接に関連する諸法令 | ||||
情報通信・個人情報保護 | ||||
文章理解 |
法令科目、基礎知識科目のそれぞれに足切りがあるため、バランス良く対策する必要があります。
それでは、足切りとなってしまう具体例を紹介します。
足切りの例 その1
足切り 例1 | 法令科目 | 基礎知識科目 | 合計点数 |
160/244点 | 20/56点 | 180/300点 |
- 法令科目が122点以上 ○
- 基礎知識科目が24点以上 ×
- 全体の得点が180点以上 ○
例1の場合、合格基準の①と③はクリアしていますが、基礎知識科目が20点で合格基準の②を満たさないため足切り不合格です。
「行政法を制する者は行政書士試験を制する」と言われるくらい、法令科目の中でも「行政法」は高配点の重要科目です。
しかし、法令科目でどれだけ高得点を取っても、例1のような基礎知識科目で涙を呑むケースがあります。
つまり、法令科目だけではなく、基礎知識科目の対策も欠かせません。
足切りの例 その2
足切り 例2 | 法令科目 | 基礎知識科目 | 合計点数 |
122/244点 | 56/56点 | 178/300点 |
- 法令科目が122点以上 ○
- 基礎知識科目が24点以上 ○
- 全体の得点が180点以上 ×
例2の場合、合格基準の①と②はクリアしていますが、合計点数が178点で合格基準の③を満たさないため足切り不合格です。
このように、基礎知識科目が56点満点だったとしても、法令科目で124点以上取らなければ180点を超えられません。
足切りを超えても合格にはならない
足切りの例2で紹介したように、法令科目で122点、基礎知識科目で24点の足切りラインを超えたとしても、合計146点にしかならず、180点までは34点足りません。
また、基礎知識科目で高得点を取ることは現実的ではないため、実際には法令科目で多く得点しておく必要があります。
そのため、目標点は基礎知識科目で24点、法令科目で156点以上とすることがオススメです。
ちなみに、科目別目標点の内訳と戦略を以下の記事で紹介していますので、ご参考にしてみてください。
足切りを回避するコツ

結論を言うと、足切り回避のコツは基礎知識科目の対策です。
しかし、基礎知識科目の対策に多くの時間を割いても、法令科目の対策に時間をかけられず得点できなければ本末転倒です。
そのため、基礎知識科目をできるだけ最低限の努力で乗り切る戦略も重要になります。
基礎知識科目の目標点を決める
基礎知識科目の各科目について、目標点を定めてみました。
科目 | 問題数 | 配点 | 目標点 |
---|---|---|---|
一般知識 | 5問 | 20点 | 0点 |
行政書士法等〜 | 2問 | 8点 | 4点 |
情報通信・個人情報保護 | 4問 | 16点 | 12点 |
文章理解 | 3問 | 12点 | 12点 |
合計 | 14問 | 56点 | 28点 |
基礎知識科目では、「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」「情報通信・個人情報保護」「文章理解」の3科目を重点的に対策して、28/56点を狙っていきます。
あくまで、「足切り回避」の戦略ですので、「一般知識」の対策にも時間を使える方は、さらに上を目指していいでしょう。
それでは、各科目の特徴も紹介していきます。
一般知識
主に世界の政治や経済など、社会事情の時事問題が頻出されるため、対策すべき範囲がかなり広く得点しづらい科目です。
基礎知識科目の高得点が現実的ではないのは、「一般知識」が原因です。
そのため、行政書士試験に初挑戦の方や対策に時間を割けない方は、「一般知識で知ってる問題が出たらラッキー!」くらいに思って他の科目に集中しましょう。
リベンジ組なら日頃から新聞やニュース記事を読んで幅広い知識を身に着けておきましょう。
行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令
「行政書士法等〜」では、「行政書士法」「戸籍法」「住民基本台帳法」などの知識が問われます。
令和6年度から追加されたため、情報は少ないですが、現状では条文を理解しておけば得点できる科目ですので、しっかりと対策しましょう。
情報通信・個人情報保護
「情報通信・個人情報保護」に関する内容が問われる分野なので、出題範囲が比較的絞りやすいです。
- 個人情報保護法
- 行政機関個人情報保護法
- 情報公開法
- 公文書管理法
過去問を活用し、条文の知識に加えて、IT用語やその定義も学習しておきましょう。
文章理解
毎年必ず3問出題され、出題形式も固まっている文章理解では3問すべて正解することが重要です。
具体的には、文章中の空欄に適した語句を選ぶ「空欄補充問題」、選択肢を並び替えて文章を成立させる「並べ替え問題」が出題されます。
コツがわかれば正解できる科目のため、できるだけ過去問を解くなど問題演習を重ねておく必要があります。
基礎知識科目の解答時間を確保する
基礎知識科目を解答するために、30分は確保しておきましょう。
特に、「文章理解」は落ち着いて文章を正しく読めば正解できる問題です。
文章理解で「1問当たり4点×3問=計12点のチャンス」を逃すのはもったいないので、時間に余裕を持たせて挑みましょう。
過去問や模試などで、時間配分を調整する練習をしておきましょう。
基礎知識科目を最初に解くのもあり
行政書士試験の問題は、先頭から
五肢択一式 1〜40問
(基礎法学、憲法、行政法、民法、商法/会社法)
多肢選択式 41〜43問
(憲法、行政法)
記述式 44〜46問
(行政法、民法)
五肢択一式 47〜60問
(基礎知識科目)
という順番になっています。
なお、「文章理解」は最後の58〜60問です。
他の問題で時間を使いすぎて、「記述式まで解いたけど、残り20分しかない…。」となれば、足切りの可能性が一気に高まります。
とは言え、法令科目を解いている途中で、残り時間を気にして、
法令科目→(焦って)基礎知識科目→法令科目→…。
と解いても集中できず、冷静になれない場合もあります。
そうなるくらいなら、基礎知識科目を最初に解いてみることもオススメです。
ちなみに、試験問題の先頭にある「基礎法学」や「憲法」には、それぞれ難易度の高い問題が含まれる傾向があります。
出題順で解いていくと、
緊張→試験開始→最初のページを開く→「なんだこの問題は…。」
と焦ってしまうこともあるため、まずは飛ばして、基礎知識科目で解答のリズムを整えることも期待できます。
ただし、解答の順番は向き不向きがあるため、足切り回避の一つの手段として、参考にしてみてください。
最後に 基礎知識科目は最低限の努力で
以上、行政書士試験の足切りについて解説いたしました。
- 法令科目が122点以上(244点満点)
- 基礎知識科目が24点以上(56点満点)
- 全体の得点が180点以上(300点満点)
足切り回避のコツは、合格基準②の基礎知識科目の対策です。
しかし、基礎知識科目に多くの時間を割いて、法令科目が疎かになってはいけません。
基礎知識科目は最低限の努力で足切り回避することが理想です。
特に、行政書士試験に初挑戦の方や勉強時間が足りない方は、
「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」
「情報通信・個人情報保護」
「文章理解」
の3科目で、28/56点を目標にすることをオススメします。
絶対に合格したい!と言う方へ
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