行政書士試験の攻略

行政書士試験の合格基準点を徹底解説!科目別の目標点も教えます

行政書士試験に早期合格したいなら、勝つための戦略が重要です。

どうすれば合格になるの?
どの科目を頑張ればいいの?

本記事では、最低限の努力で合格点を取るための戦略的なアプローチを現役の行政書士が解説します。

合格への最短ルートを紹介しますので、効率良く合格したい方の参考になれば幸いです。

この記事を書いた人
行政書士ヤマハチ 現役行政書士
30歳で行政書士事務所開業
1年目の売上16,500円という絶望から、開業3年目で売上1,800万円達成

行政書士試験の合格基準

行政書士試験は合格率が低い難関試験と言われていますが、明確な合格基準があるため、怯える必要はありません。

行政書士試験の合格率については、次の記事で解説しているので、ご参考にどうぞ。

行政書士試験は絶対評価

行政書士試験を攻略する上で注目すべき特徴は、行政書士試験が絶対評価であることです。

ちなみに、その逆の「相対評価」で馴染みがあるのは、高校・大学受験ですね。

例えば、ある高校の定員数が320人なら、あなたが合格ラインを超えていても、あなたよりも多く得点した方が他に320人以上いた場合は、不合格となります。

つまり、どれだけ頑張っても、優秀な方が多ければ多いほど、その分だけ合格の望みが薄くなります。

行政書士試験は「絶対評価」の試験ですので、受験者が何万人いようと、猛者が何十万人現れようと、あなたが合格点を超えていれば合格できます。

他者の得点は関係ありませんので、ある意味自分との戦いです。

行政書士試験の合格基準点

行政書士試験では、次の3つの基準をすべて満たす必要があります。

合格基準点
  • 法令科目が122点以上(244点満点)
  • 基礎知識科目が24点以上(56点満点)
  • 全体の得点が180点以上(300点満点)

各科目の配点は次の表のとおりです。

分野科目問題数配点
法令科目憲法6問28点244点
行政法22問112点
民法11問76点
商法/会社法5問20点
基礎法学2問8点
基礎知識科目一般知識14問56点
行政書士法等行政書士業務と
密接に関連する諸法令
情報通信・個人情報保護
文章理解
各科目の配点

① 法令科目が122点以上(244点満点)

法令科目「憲法、行政法、民法、商法/会社法、基礎法学」で244点が配点されています。

その中で122点以上ですので、50%以上を得点すれば、1つ目の基準はクリアです。

また、先ほどの各科目の配点を見ると、「行政法、民法」の割合が高いことがわかります。

つまり、「行政法、民法」に時間をかけて勉強すべきであることが一目瞭然です。

ただ、1つ目の基準はさほど重要ではなく、注意すべきは2つ目の基準です。

② 基礎知識科目が24点以上(56点満点)

基礎知識科目「一般知識、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令、情報通信・個人情報保護、文章理解」で56点が配点されています。

基礎知識科目はすべて五肢択一式(5つの選択肢から1つを選ぶ形式)で、1問当たり4点の全14問が出題されます。

つまり、14問中6問正解すれば24点となり、2つ目の基準はクリアです。

しかし、2つ目基準がクリアできず「足切り」となることがあるため、受験生を悩ませる壁といえます。

「足切り」については、後述します。

③ 全体の得点が180点以上(300点満点)

3つ目の基準は、法令科目と基礎知識科目の合計で60%の180点を超える必要があると言うことです。

ちなみに、平成26年度には、問題の難易度が高すぎたことにより、「180点以上」から「166点以上」へ引き下げるという補正措置が取られたこともあります。

この補正措置は過去に1度しかないため、180点未満を狙うことはないようにしましょう。

足切りに注意!?

3つの合格基準点において、どれか一つでも超えていないなら「足切り」で不合格となります。

法令科目ばかり対策しても、逆に基礎知識科目を完全攻略しても、足切り不合格となることがあるため、バランス良く対策を進めていきましょう。

足切りを回避するイメージをつけるために、具体例を2つ紹介します。

足切りの例 その1

足切り
例1
法令科目基礎知識科目合計点数
160/244点20/56点180/300点
  • 法令科目が122点以上 ○
  • 基礎知識科目が24点以上 ×
  • 全体の得点が180点以上 ○

例1の場合、合格基準の①と③はクリアしていますが、基礎知識科目が20点で合格基準の②を満たさないため足切り不合格です。

実際、法令科目の覚えるべき範囲はかなり広いですが、逆に範囲が決まっているからこそ、勉強量でどうにでもなります。

しかし、基礎知識科目の「一般知識」ではどんな問題が出るか未知です。

この足切りにより来年のリベンジ組となる人が多いため、「一般知識」以外で取りこぼさないようにバランス良く対策しましょう。

ちなみに、令和6年度から追加された「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」は、比較的対策しやすいため、「足切りに怯えなくてよくなるのでは!?」と思いました。

が、令和6年度で出題されたのはわずか2問で、やや肩透かしを食いました…。

足切りの例 その2

足切り
例2
法令科目基礎知識科目合計点数
122/244点56/56点178/300点
  • 法令科目が122点以上 ○
  • 基礎知識科目が24点以上 ○
  • 全体の得点が180点以上 ×

例2の場合、合格基準の①と②はクリアしていますが、合計点数が178点で合格基準の③を満たさないため足切り不合格です。

このように、基礎知識科目が56点満点だったとしても、180点を超えない場合があります。

さらに、基礎知識科目で高得点を取ることは現実的ではないため、法令科目では多めに得点しておく必要があります。

前述の「1つ目の基準はさほど重要ではない」理由はこのためです。

科目別の目標点とポイント

合格基準がわかれば、各科目の配点から逆算して目標点を決めることができます。

次の表は私の戦法で決めた目標点ですが、最低限の努力で挑むには理にかなっている点数だと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

分野科目問題数配点目標点
法令科目憲法6問28点18点
行政法22問112点88点
民法11問76点48点
商法/会社法5問20点4点
基礎法学2問8点4点
基礎知識科目一般知識5問20点0点
行政書士法等2問8点4点
情報通信・個人情報保護4問16点12点
文章理解3問12点12点
合計60問300点190点
科目別の目標点

憲法 18/28点

憲法には「五肢択一式」と「多肢選択式」の出題形式があります。

出題形式問題数配点目標点
五肢択一式5問20点12点
多肢選択式1問8点6点
合計6問28点18点

問題の難易度について、すべて難しい、または易しい問題ということはほとんどなく、半々で出題される傾向があります。

例えば、五肢択一式の5問中、3問が難しければ、2問が易しい。またはその逆。という具合です。

応用問題や過去に問われたことない解釈の問題が出てきたら捨てていいので、易しい問題を逃さないようにしましょう。

行政法 88/112点

行政法には「五肢択一式」「多肢選択式」「記述式」の出題形式があります。

出題形式問題数配点目標点
五肢択一式19問76点68点
多肢選択式2問16点10点
記述式1問20点10点
合計22問112点88点

配点が最も高い重要科目であるため、じっくりと時間をかけて勉強しましょう。

行政法では、主に条文の知識や理解を問われますが、新しい解釈の問題がほとんど出題されないため、過去問の対策がかなり効果的です。

ただし、覚える条文が多いため、問題を何周もして確実に知識定着させるようにしましょう。

民法 48/76点

民法には「五肢択一式」と「記述式」の出題形式があります。

出題形式問題数配点目標点
五肢択一式9問36点28点
記述式2問40点20点
合計11問76点48点

行政法の次に配点は高いですが、記述式が半分以上を占めるため、得点ハードルも高い重要科目です。

ただし、記述式で特別な対策が必要ということではなく、勉強すべき内容は同じです。

民法の問題では、出題された事例に沿って、インプットさせた条文と判例の知識をどれだけ正確にアウトプットできるかどうかが求められる傾向にあります。

そのため、条文を頭に入れたら「〇〇なら●●」、「〇〇でも□□なら■■」と頭の中で樹形図のように場合分けを完璧にできるまで問題演習を繰り返し、知識定着させましょう。

記述式は、上記に加え、民法上のキーワードを正しく書けるようにしておけば、大丈夫です。

ちなみに、全体の合計目標点は190点で、合格基準点から10点分のバッファを設けてます。

これは記述式問題の採点方法が実は不明瞭であることが理由ですが、「民法の記述式で20点を目指しておけば10点は取れる見込み」と仮定しています。

商法/会社法 4/20点

商法/会社法の出題形式は「五肢択一式」で、全5問中1問を目指します。

正直なところ初学者なら捨てて良い科目です。

もし対策するにしても、「設立」を勉強するなど、分野を絞りましょう。

基礎法学 4/8点

基礎法学の出題形式は「五肢択一式」で、全2問中1問を目指します。

法律を理解する上で重要な科目であり、法律初学者なら初めに取り組まなければ、他科目での条文を正しく理解できないと思います。

しかし、試験問題では初見の知識を問われることが多いため、あまり力を入れて対策しなくても良いと思います。

基礎知識科目 28/56点

基礎知識科目の出題形式は「五肢択一式」で、全14問中7問を目指します。

問題数は年度によって変わりますが、令和6年度を参考にしています。

科目問題数配点目標点
一般知識5問20点0点
行政書士法等〜2問8点4点
情報通信・個人情報保護4問16点12点
文章理解3問12点12点
合計14問56点28点
基礎知識科目の配点と目標点 令和6年度の問題数を参照

一般知識

「一般知識」は時事問題が頻出される対策の難しい科目で、令和5年度までは7〜8問が出題され、受験生の足切りを脅かす存在でした。

しかし、令和6年度から「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」が追加され、問題数が分散されたため、初挑戦の方であれば捨てて良いと思います。

リベンジ組で対策に時間を割けるのであれば、日頃から新聞やニュース記事を読んで幅広い知識を身に着けておきましょう。

行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令

「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」では、「行政書士法」「戸籍法」「住民基本台帳法」などの知識が問われます。

令和6年度から追加されたため、情報は少ないですが、現状では条文を理解しておけば得点できる科目ですので、しっかりと対策しておきましょう。

情報通信・個人情報保護

「情報通信・個人情報保護」に関する内容が問われる分野なので、出題範囲が比較的絞りやすいです。

確認しておきたい法律の条文
  • 個人情報保護法
  • 行政機関個人情報保護法
  • 情報公開法
  • 公文書管理法

過去問を活用し、条文の知識に加えて、IT用語やその定義も学習しておきましょう。

文章理解

毎年必ず3問出題され、出題形式も固まっている文章理解では3問すべて正解することが重要です。

コツがわかれば正解できる科目のため、できるだけ過去問を解くなど問題演習を重ねておく必要があります。

最後に 180点でも合格は合格

以上、行政書士試験の合格基準点と科目別の目標点を紹介させていただきました。

合格基準点
  • 法令科目が122点以上
  • 基礎知識科目が24点以上
  • 全体の得点が180点以上

目標点を決めれば、最低限の必要な努力量を逆算して求められるので、計画的な学習ができると思います。

また、高得点でなくても、180点ちょうどでも、合格は合格です。

限られた時間の中で、効率良く勉強を進めていきましょう。

科目の理解が難しい場合は、通信講座で講師を見つけることも良いと思います。

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また、合格に必要な勉強時間について、次の記事で解説しているので、興味がある方はぜひ。