行政書士試験の攻略

【行政書士試験】行政法の概要と攻略法

行政書士試験は難関試験ではありますが、初学者でも正しく勉強すれば合格できます。

行政法ってなに?
行政法の攻略法は?

行政書士試験に出題される行政法とその攻略法について解説していきます。

行政書士試験の理解を深め、合格を掴みましょう!

この記事を書いた人
行政書士ヤマハチ 現役行政書士
30歳で行政書士事務所開業
1年目の売上16,500円という絶望から、開業3年目で売上1,800万円達成

行政法とは?

行政法という名前の法律はない

行政法とは「行政権に関する法律」の総称であり、「行政法」という法律があるわけではありません。

では、行政権とは何かというと、国の三権(立法権・司法権・行政権)から「立法権」と「司法権」を除いた国の活動を指すという考え方があります。(控除説)

そのため、国や地方公共団体が行う多くの活動が行政権に該当します。

要するに、行政権の範囲はとても広く、それに伴って

行政法に該当する法律も多岐にわたる。

と理解していただければよいでしょう。

行政法の3つの分類

行政法は、大きく3つに分けられています。

  • 行政組織法
  • 行政作用法
  • 行政救済法

この3つの分類を覚えておくと、「その法律は何を目的に作られているか」を理解して勉強を進められます。

① 行政組織法

国や地方公共団体の組織や機構に関する法律をまとめた呼称です。

簡単に言うと、「どの機関がどのような権限で誰がどの範囲の事務を担当するのか」などを各法律で定めています。

例)国家行政組織法、地方自治法、内閣法など

② 行政作用法

国や地方公共団体の行政活動に関する法律のことです。

行政主体が国民に対して、法を根拠に「どのような行政行為をするのか」などを各法律で定めています。

例)行政代執行法、行政手続法など

③ 行政救済法

国や地方公共団体の行政活動により権利を侵害された国民の救済方法に関する法律のことです。

違法や不当な行政行為から国民の権利が守られるために「どのような手続きをすべきか」などを各法律で定めています。

例)行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法など

行政法は意外と身近な存在

義務教育で学ぶ「憲法」や日常生活に近い「民法」と比べ、「行政法」はあまりイメージが浮かばない方がほとんどだと思います。

しかし、意外と身近な存在と言えます。

例1)車の運転中に速度超過で捕まってしまい、道路交通法違反で免許停止処分を受けた。

例2)飲食店の営業で衛生基準に違反しており、営業停止処分を受けた。

これらの免許停止や営業停止の処分が「行政行為」です。

もし、そのような処分が違法か不当だと感じた場合は、行政不服審査法に基づいて不服申立てを行うことで、行政機関が処分の適法性を審査し、処分が取り消されたり変更がされたりする場合があります。

行政法は多くの条文を覚える必要がありますが、身近な例に置き換えて具体的なイメージを持つと、理解度が上がります。

行政書士試験における行政法と攻略法

行政法攻略の心構え

行政法は300点満点中112点を占めています。

これは全体の3分の1以上に相当するため、勉強時間をかけてできるだけ得点しておきたい科目です。

「行政法を制する者は行政書士試験を制する」です。

出題形式問題数配点目標点
五肢択一式19問76点68点
多肢選択式2問16点10点
記述式1問20点10点
合計22問112点88点
行政法の配点と目標点

行政法は選択肢に過去問が繰り返し使われたり、一部内容を変えて別の出題形式で問われたり、と過去問の知識が生かされる傾向にあります。

そのため、行政法は特に過去問に重点を置いて学習し、目標点は8割を狙っていきましょう。

行政法の出題範囲は6分野

行政法に該当する法律が多岐にわたるため、その分法律を覚えなければいけないかというと、試験においてはそうではありません。

行政書士試験において、行政法は6つの分野に限られます

  • 行政法の一般的な法理論
  • 行政手続法
  • 行政不服審査法
  • 行政事件訴訟法
  • 国家賠償法(損失補償)
  • 地方自治法

②~⑥は具体的な法律ですが、「① 行政法の一般的な法理論」は行政法全体に共通するルールについて問われます。

「① 行政法の一般的な法理論」狙いを絞る

一般的な法理論では、「行政作用」と「行政上の強制措置」がよく出題されるため、重点的に勉強しましょう。

特に、行政行為の種類とその具体例、強制措置の定義、代執行の要件、最高裁判所の判例などを頭に入れておきましょう。

よく出る
  • 一般的な法理論:「行政作用」(特に行政行為)「行政上の強制措置」

「② 行政手続法」「③ 行政不服審査法」法律の条文を押さえる

行政法すべてに共通しますが、条文をどれだけ理解できているかが行政法攻略のカギになります。

特に、「②行政手続法」と「③行政不服審査法」は条文を覚えれば正解できるため、得点に結びつきやすいです。

行政手続法は「申請に対する処分」「不利益処分」、行政不服審査法は「裁決」がよく出題されるため、重点的に勉強しましょう。

よく出る
  • 行政手続法:「申請に対する処分」「不利益処分」
  • 行政不服審査法:「裁決」

「④ 行政事件訴訟法」「⑤ 国家賠償法」条文と判例を押さえる

「④行政事件訴訟法」と「⑤国家賠償法(損失補償)」は、最高裁判所の判例も問われます。

そのため、条文の知識に加えて、最高裁判所の判例も読み込んで頭に入れておきましょう。

行政事件訴訟法は「取消訴訟」、国家賠償法は「国家賠償法1条」がよく出題されるため、重点的に勉強しましょう。

よく出る
  • 行政事件訴訟法:「取消訴訟」(特に訴訟要件)
  • 国家賠償法:「国家賠償法1条」

「⑥ 地方自治法」狙いを絞るもあり

「⑥地方自治法」は、条文が多い割に出題数が他分野と同程度であるため、得点効率が良くない分野とも言えます。

あまり勉強に時間をかけられない方は、よく出題される「住民の権利」に絞るのも手段の一つです。

ただ、憲法の統治と考え方が近い部分もあるため、得意な方は得点していきましょう。

よく出る
  • 地方自治法:「住民の権利」

最後に 行政法が合否を分ける

以上、行政書士試験に出題される行政法とその攻略法について解説しました。

行政法の攻略法
  • 112/300点を占める最重要科目
  • 過去問の知識が生かされる出題傾向
  • 条文・最高裁判例の理解が大事

行政書士試験の合否を分けるのは、行政法の理解度です。

あまり時間をかけられない方や最後の仕上げをしたい方は、「よく出る」の部分を重点的に勉強しましょう。

コラムを読まれた方が行政書士試験の合格を掴めるよう、どんどん執筆していきます!

以下の記事が続きになります。ご参考になれば幸いです。